「棚に上げる」という言葉には、「不都合なことには触れないでおく」という意味があります。
自分の悪い点には触れずに相手を非難するときによく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「棚に上げる」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
棚に上げるの意味は『不都合なことには触れないでおく』
棚に上げるの読み方は「たなにあげる」です。
商売で、需給の調節などのために一時的に売りたくない商品は棚に上げて見えなくし、わざと売れないようにすることからできた言葉です。
『棚に上げる』には
- 知らん顔をして問題にしない
- 都合の悪いことからは目を背ける
- しなければならないことを先延ばしする
などの意味があります。
「棚に上げる」の正しい使い方を例文で紹介!
「棚に上げる」は、自分の悪い点には触れずに相手を非難するときに使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
元々の原因を作った自分のことは棚に上げて、友人のミスばかり批判する彼女には本当にあきれたわ。
例文②
政府は最も重要な問題を棚に上げたまま放置している。別の問題を提示することで、国民の目を逸らせようとしているのは明白だ。
例文③
自分の息子の働いた悪事は棚に上げて、学校側を訴えるなんてあきれた親だわ。
例文④
自分のことは棚に上げて相手に理想を押し付けてばかりいると、いつまで経っても結婚なんてできないわよ。
例文⑤
今週末が納期だというのに、そんな雑務ばかりしていても仕方がないだろう。難しい仕事を棚に上げても、後々自分が苦しむだけだぞ。
【棚に上げるを使う時の注意点】
自分の欠点には知らん顔しながら他人を非難するという意味で「自分のことを棚に上げる」の形で使われることが多いです。
悪い印象を与える言葉であり、棚に上げる対象物に対し批判的な見方をしていることを示します。
ビジネスシーンでは「しなければいけないことを先延ばしにする」という意味合いで使われることもあります。
「棚に上げる」の類義語・言い換え4選
『棚に上げる』の類義語や言い換えの言葉は4つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 棚上げにする
- 目を瞑る
- 医者の不養生
- 口を拭う
類義語①棚上げにするの意味
ある問題を放置して先送りすること、判断が停滞することなどを意味する表現。
引用:weblio辞書
問題を棚上げにしたところで何も解決はしないわよ。早く彼女と話をしてきなさい。
類義語②目を瞑るの意味
お母さん、今回は目を瞑っててくれたけど、また同じことをしたら今度こそお父さんに大目玉を食らうわよ。
類義語③医者の不養生の意味
人に養生を勧める医者が、自分は健康に注意しないこと。正しいとわかっていながら自分では実行しないことのたとえ。
引用:weblio辞書
管理栄養士なのに自分の食事はコンビニ弁当ばかりだなんて、医者の不養生としか言いようがないね。
類義語④口を拭うの意味
何か悪いことをしていながら素知らぬふりをする。また、知っていながら知らないふりをする。
引用:goo辞書
なぜ先生に話したのかって?すべての責任を友人に押し付けて、口を拭って知らん顔をしている彼に腹が立ったからよ。
「棚に上げる」と「棚上げ」の違いは?
「棚に上げる」と「棚上げ」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「棚に上げる」には不都合なことには触れずにおくという意味がありますが、
それに対し「棚上げ」には問題を一時的に未処理・未解決のままにしておくことという意味があります。
「棚に上げる」は都合の悪いことに知らん顔をすることであり、あまり良くない意味合いを持ちます。
一方、「棚上げ」は一時的に保留するだけであり、特に悪い意味合いは持たないところに違いがあります。
また「棚に上げる」は「自分のことを棚に上げる」など自分に対して使うことがほとんどですが、「棚上げ」は問題やプロジェクトなどに対して使うことが多いです。
「棚に上げる」は英語で『ignore one's own faults』
棚に上げるは英語の『ignore one's own faults』に言い換えることができます。
英語の『ignore one's own faults』には
- 自分の事を棚に上げる
という意味があります。
「棚に上げる」の対義語・反対語は『けじめをつける』
棚に上げるの対義語は、『けじめをつける』になります。
けじめをつけるには
- 守るべき規範や道徳などに従って、行動や態度を明確にする
- 物事のけりをつける
などの意味があり、自分自身の過ちなどについて責任を取る時に用いられます。
今回のトラブルは君の職務怠慢が引き起こしたんだ。君は何らかの方法でけじめをつけないといけないよ。
「棚に上げる」は都合の悪いことに知らん顔することを意味します。
一方、「けじめをつける」は自分自身の過ちなどについて責任を取ることを意味します。
また、物事のけりをつけるという意味もあり、「公私のけじめをつける」というような使い方もします。