「矢鱈」という言葉には、「根拠や節度がないさま」という意味があります。
「むやみやたらと」などの表現でよく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「矢鱈」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「矢鱈」の意味は『根拠や節度がないさま』
矢鱈の読み方は「やたら」です。
語源は、日本の古典音楽の雅楽の「夜多羅拍子(やたらびょうし)」と言われています。
「夜多羅拍子」は混合拍子で、調子がつかみにくく、無秩序に聞こえる特殊な曲です。
テンポが速く、調子が乱れやすいことが由来となり「やたら」という言葉となりました。
漢字表記の「矢鱈」は当て字です。
『矢鱈』には
- 根拠・節度がないさま
- 筋が通らないさま
- めちゃくちゃ
などの意味があります。
「矢鱈」の正しい使い方を例文で紹介!
「矢鱈」は、筋が通らないことを表す際に使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
彼は矢鱈と、女の子に話しかける。
例文②
今日は、矢鱈と電話がかかってきて仕事が進まない。
例文③
今日は暑いから矢鱈と喉が乾く。
例文④
矢鱈と道が混んでいると思ったら、事故渋滞らしい。
例文⑤
矢鱈と買ってしまったが、食べ切れるか心配になってきた。
【矢鱈を使う時の注意点】
「矢鱈」は当て字で、一般的には「やたら」とひらがなで表記されます。
方言のように思われがちな言葉ですが、標準語です。併せて覚えておきましょう。
「矢鱈」の類義語・言い換え4選
『矢鱈』の類義語や言い換えの言葉は4つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 無闇
- 無性に
- みだりに
- 軽はずみ
類義語①無闇の意味
結果や是非を考えないで、いちずに物事をすること。また、そのさま。
引用:goo辞書
無闇に人の悪口は言わないほうがいい。
類義語②無性にの意味
あとさきを考えずにやみくもに行うさま。むやみに。やたらに。
引用:goo辞書
お酒を飲んだ後は、無性にラーメンが食べたくなる。
類義語③みだりの意味
秩序を無視するさま。自分勝手であるさま。
引用:goo辞書
みだりに道路を横断してはいけません。
類義語④軽はずみの意味
その時のはずみで、深い考えもなしに言ったり、したりすること。また、そのさま。軽率 (けいそつ) 。
引用:goo辞書
軽はずみな言動は慎んだほうがいい。
「矢鱈」と「むやみ」の違いは?
「矢鱈」と「むやみ」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「矢鱈」には根拠や節度がないさまという意味がありますが、
それに対し「むやみ」には、結果や是非を考えないで、いちずに物事をするという意味があります。
「むやみ矢鱈」とまとめて用いられることが多い言葉ですが、厳密には意味が分かれています。
「矢鱈」は物事の規律や秩序がなく無茶苦茶であることを表しますが、「むやみ」は後先を考えずに行動することを表す言葉です。
後先を考えずに無茶苦茶な行動をすることを「むやみ矢鱈」と表現します。
「矢鱈」は英語で『blindly』
矢鱈は英語の『blindly』に言い換えることができます。
英語の『blindly』には
- 盲目的に
- むやみに
という意味があります。
「矢鱈」の対義語・反対語は『別段』
矢鱈の対義語は、『別段』になります。
別段には
- 特にとりたてて言うほどではないさま
- とりわけ
などの意味があり、特にとりたてて言うほどではない様子を表す際に用いられます。
あのお店は高級店だが、別段美味しいとは思えない。
根拠や節度がないことを表す「矢鱈」に対して、特に取り立てて言うほどでもない様子という意味の「別段」は、反対の意味の言葉として使うことができます。