「推論」という言葉には、「既知の事柄を基準として、未知の事柄を予想し論じること」という意味があります。
数学や科学、心理学など様々な学術分野でよく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「推論」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「推論」の意味は『既知の事柄を基準として、未知の事柄を予想し論じること』
推論の読み方は「すいろん」です。
- 「推」は考えをおし進める・おしはかる
- 「論」は筋を通した意見・見解
の2つが合わさってできた言葉です。
『推論』には
- ある事実をもとにして、未知の事柄を推し量って論じること
- 既知の事柄を基準として、未知の事柄を予想し論じること
- ルールに基づき、前提から結論を作ること
などの意味があります。
「推論」の正しい使い方を例文で紹介!
「推論」は、ある事実をもとに未知の事柄を予想して論じる際に使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
世間では彼女は右手を負傷したから今回のコンクールには参加できないだろうと推論してたのに、治療が間に合ったのね。
例文②
君の言動から察するに、君は今の仕事に満足していないと推論するんだが、よかったら僕と手を組んで起業しないかい。
例文③
これはあくまで推論ですが、私はこの事例は業界全体に影響を及ぼすのではないかと考えています。
例文④
先生の話から推論すると、テストの点数よりレポートの方が重視されるんじゃないかしら。
例文⑤
その事実だけで彼が犯人だと推論するのはあまりに短絡的ではないでしょうか。
【推論を使う時の注意点】
推論は既知の事柄を基準として未知の事柄を論じることです。
つまり、まったく知らないことに対しては用いられません。
「君は模試でA判定だったのだから、きっと受験に合格するよ」というのは推論です。
対して、過去の成績や普段の勉強の様子を知らない相手に対して「君はきっと受験に合格するよ」というのは推論ではなくただの予測にすぎません。
「推論」の類義語・言い換え5選
『推論』の類義語や言い換えの言葉は5つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 推測
- 予測
- 推理
- 類推
- 推察
類義語①推測の意味
これはあくまで私の推測だけど、彼はチームを脱退したいんじゃないかしら。
類義語②予測の意味
事の成り行きや結果を前もっておしはかること。また、その内容。
引用:goo辞書
将来何が起こるか予測することはできないんだし、今のうちに保険をかけておくことは重要よ。
類義語③推理の意味
これまでの登場人物の証言から推理すると、犯人は出入り業者の中にいるんじゃないかな。
類義語④類推の意味
1 類似の点をもとにして、他を推しはかること。
2 論理学で、二つの事物の間に本質的な類似点があることを根拠にして、一方の事物がある性質をもつ場合に他方の事物もそれと同じ性質をもつであろうと推理すること。結論は蓋然的。類比推理。類比。比論。アナロジー。
引用:goo辞書
過去の傾向から類推すると、来週末にはセールの情報が解禁されるはずだわ。
類義語⑤推察の意味
他人の事情や心中を思いやること。おしはかること。推量。
引用:weblio辞書
先週末は運動会の開催される小学校が多かったため、ファミリー層の集客が弱かったのだと推察します。
「推論」と「推測」の違いは?
「推論」と「推測」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
どちらもある事実をもとにして、未知の事柄を推し量るという意味があります。
違いは「推論」は論理展開による予測である一方、「推測」は単純な予測である点です。
例えば、「君は几帳面だからきっと自分の部屋もいつもきれいなんだろうね」というのは推測です。
「几帳面な人は部屋のきれいな人が多い」というそれまでの経験から導きだした予測であって、確実に言える結論ではありません。
几帳面でも部屋の散らかっている人はいるでしょう。
対して、「野菜には栄養があるから、トマトには栄養があるだろう」というのは推論です。
「野菜には栄養がある」「トマトは野菜である」という確実な事実から、「だからトマトには栄養がある」という論理展開により導き出された結論が推論なのです。
「推論」は英語で『 inference』
推論は英語の『inference』に言い換えることができます。
英語の『inference』には
- 推論・推理・推定
- 結論
という意味があります。
「推論」の対義語・反対語は『直観』
推論の対義語は、『直観』になります。
直観には
- 推理を用いず、直接に対象をとらえること
- 感覚的にただちに物事をとらえること
などの意味があり、思考を働かせることなく、経験や先入観に基づいて素早く判断するときに用いられます。
彼に初めて会ったとき、彼は何か大きなことを成し遂げる人物だと直観で感じたよ。
推論はある事実をもとにして、論理展開を経て未知の事柄を推し量ります。
対して直観は、思考を働かせることなく感覚的に物事をとらえます。
物事をとらえるために思考を働かせるかどうかに違いがあります。