「侃々諤々」という言葉には、「ひるまず述べて盛んに議論をするさま」という意味があります。
日常生活ではあまり使われない四字熟語なので、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「侃々諤々」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「侃々諤々」の意味は『ひるまず述べて盛んに議論をするさま』
侃々諤々の読み方は「かんかんがくがく」です。
語源は「侃々」と「諤々」に分かれており、
- 「侃々」の語源は、剛直なさまを意味する『論語』の「侃侃如たり(かんかんじょたり)」という表現
- 「諤々」の語源は、『史記』の「千人の諾諾(だくだく)は一士の諤諤に如かず」という一文で、「他人の意見に同調しやすい千人の人々は、自分が正しいと主張できる一人には敵わない」という意味
だと言われています。
「侃々」は、剛直なさまを、「諤々」は、はばかることなく直接物事をいうさまを表しています。
『侃々諤々』には
- ひるまず述べて盛んに議論をするさま
- 議論の盛んなことの形容
- はばかることなく直言するさま
などの意味があります。
「侃々諤々」の正しい使い方を例文で紹介!
「侃々諤々」は、ひるまず述べて盛んに議論をするさまを表す際に使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
侃々諤々の議論は、定時を超えても続いた。
例文②
良いものを作り出すには、侃々諤々な話し合いが必要だ。
例文③
侃々諤々に意見する彼女は、見ていて憧れる。
例文④
侃々諤々の議論の末、やっと結論がまとまった。
例文⑤
誰も発言しない会議より、侃々諤々とした会議の方が価値がある。
【侃々諤々を使う時の注意点】
「侃々諤々」は、白熱している議論を表したり、自分の意見を主張したりする際に使われます。
難しい漢字と読みなので、日常的には使われませんが、ビジネスシーンで用いられる可能性がありますので、覚えておきましょう。
「侃々諤々」の類義語・言い換え3選
『侃々諤々』の類義語や言い換えの言葉は3つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 議論百出
- 百家争鳴
- 丁々発止(ちょうちょうはっし)
類義語①議論百出の意味
たくさんのさまざまな意見が出ること。
引用:goo辞書
議論百出の会議が終わり、どっと疲れた。
類義語②百家争鳴の意味
いろいろな立場にある人が自由に議論をたたかわせること。多くの学者や専門家が何の遠慮もなく、自由に自説を発表し、活発に論争し合うこと。中国共産党のスローガンの一つ。
引用:goo辞書
今日の会合はまさに百家争鳴で、有意義な時間だった。
類義語③丁々発止の意味
激しく議論し合うさま。また、刀などで激しく音を立てて打ち合うさま。
引用:goo辞書
丁々発止で、会議が長引いてしまった。
「侃々諤々」と「喧々諤々」の違いは?
「侃々諤々」と「喧々諤々」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「侃々諤々」にはひるまず述べて盛んに議論をするさまという意味がありますが、
それに対し「喧々諤々」には、いろいろな人がさまざまな意見を言ってまとまりがつかず、ただやかましいことという意味があります。
「喧々諤々」は、元は「侃々諤々」と大勢の人がやかましく騒ぎたてるさまを表す「喧々囂々」が混同した間違いの言葉でしたが、今は日常的に使われるようになりました。
「侃々諤々」は、積極的な発言や活発な議論といったポジティブな意味で使われますが、「喧々諤々」は、それぞれが自由に発言し、意見がまとまらないといったネガティブな意味で使われることが多いです。
似ている言葉ですが、ニュアンスが異なりますので使用の際には注意しましょう。
「侃々諤々」は英語で『outspoken』
侃々諤々は英語の『outspoken』に言い換えることができます。
英語の『outspoken』には
- 率直な
- 無遠慮な
などという意味があります。
「侃々諤々」の対義語・反対語は『独立独歩』
侃々諤々の対義語は、『独立独歩』になります。
独立独歩には
- 他人に頼らず、自分の力で信ずる道を進んでいくこと
- 独立して自分の思うとおりにやること
などの意味があり、他人に頼らず、自分の力で信ずる道を進んでいくことを表す際に用いられます。
独立独歩で事業を成功させた父はすごい。
ひるまず述べて盛んに議論をするさまという意味のある「侃々諤々」に対して、他人に頼らず、自分の力で信ずる道を進んでいくことを表す「独立独歩」は、反対の意味の言葉として使うことができます。