「裸の王様」という言葉には、「地位の高い人が周囲の批判や反対意見を受け付けず、本当の自分を分かっていないこと」という意味があります。
権力者や地位の高い人物を批判する際によく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「裸の王様」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
裸の王様の意味は『地位の高い人が周囲の批判や反対意見を受け付けず、本当の自分を分かっていないこと』
裸の王様の読み方は「はだかのおうさま」です。
語源はデンマークの童話作家、アンデルセンが1837年に発表した童話のタイトルです。
原題は『Keiserens nye Klaeder』で、直訳すると『皇帝の新衣装』という意味ですが、日本では『裸の王様』として知られています。
この童話は、日頃から周りの意見を聞き入れず、自分を着飾ることばかりに執心する王様が、仕立て屋を装った詐欺師に騙され、下着姿で街を練り歩くという物語です。
物語の内容から「地位の高い人が周囲の批判や反対意見を受け付けず、本当の自分を分かっていないこと」の例えとして、用いられています。
『裸の王様』には
- 高い地位にあって周囲からの批判や反対を受け入れないために、真実が見えなくなっている人のたとえ
という意味があります。
「裸の王様」の正しい使い方を例文で紹介!
「裸の王様」は、権力者や地位の高い人物を批判する際に使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
国民の訴えを聞かず、自分に都合のいい政策ばかり押し通す政治家は、まるで裸の王様のようです。
例文②
部下からのお世辞を本気にして、まるで自分が仕事ができるかのように振舞っている上司には、裸の王様という言葉がぴったりだ。
例文③
昇進したことで自信過剰になって、チームの意見を聞かずにプロジェクトを進めていた自分は、裸の王様だったと反省した。
例文④
新しい服を買いに行くときは、裸の王様のようにならないために、家族や友人のアドバイスを聞くようにしている。
【裸の王様を使う時の注意点】
「裸の王様」は基本的に地位の高い人や、自分より目上の相手に使う言葉なので、部下や後輩などに対しては使うことはありません。
「裸の王様」の類義語・言い換え2選
『裸の王様』の類義語や言い換えの言葉は2つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 魚の目に水見えず
- 蛸の糞で頭に上がる
類義語①魚の目に水見えずの意味
身近にあって、自分にかかわりの深いものはかえって気づかないことのたとえ。
引用:goo辞書
スポンサーの意見ばかり気にして、チームの意見を聞いてくれない部長は、まさしく「魚の目に水見えず」といった感じだ。
類義語②蛸の糞で頭に上がるの意味
《蛸の胴が頭のように見えて、糞が頭にあると考えたところから》自分は思い上がって得意になっているが、他人からはいやしめられていることのたとえ。
引用:goo辞書
彼女はSNSのフォロワーが増えたと自慢していますが、インフルエンサーの人気にあやかった結果なので、「蛸の糞で頭に上がる」と揶揄されています。
「裸の王様」と「独裁者」の違いは?
「裸の王様」と「独裁者」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「裸の王様」には地位の高い人が周囲の批判や反対意見を受け付けず、本当の自分を分かっていないことという意味がありますが、
それに対し「独裁者」には、権力を独占し、恣意 (しい) 的に物事を進める人という意味があります。
どちらも周りの意見を聞かない地位の高い人物のことを指していますが、「裸の王様」は本当の自分が分かっていないさまを表し、「独裁者」は独占した権力で物事を進める政治家や権力者のことを表します。
「裸の王様」は英語で『The Emperor's New Clothes』
裸の王様は英語の『The Emperor's New Clothes』に言い換えることができます。
英語の『The Emperor's New Clothes』には
- はだかの王様
という意味があります。
アンデルセンの童話の英語版タイトルですが、日本語と同じように、誰も本当のことを言えない状況や、権力者や社会の矛盾を指摘する際に用いられます。
「裸の王様」の対義語・反対語はありません
「裸の王様」の対義語にあたる言葉はありません。