「先見の明」という言葉には、「事が起こる前にそれを見抜く見識」という意味があります。
ビジネスシーンなどでよく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「先見の明」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「先見の明」の意味は『事が起こる前にそれを見抜く見識』
先見の明の読み方は「せんけんのめい」です。
語源は、中国の歴史書である『後漢書』に書かれている「楊彪伝」というエピソードです。
金日磾という政治家には二人の子供がいましたが、女遊びばかりしていました。
そのため、この息子達はのちのち周囲に迷惑をかけるに違いないと思い、金日磾自ら二人の子供を殺してしまったのです。
一方、楊彪という政治家の子供は、曹操という主君の機嫌を損ねて処刑されてしまいました。
楊彪は曹操に対して「金日磾のように先を見通して、自ら子どもを罰することができなかった」と語った一説が、「先見の明」の由来となっています。
『先見の明』には
- 事が起こる前にそれを見抜く見識
- 先見の識
などの意味があります。
「先見の明」の正しい使い方を例文で紹介!
「先見の明」は、事が起こる前にそれを見抜く見識を表す際に使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
先見の明がある彼は、プロジェクトをスムーズに進めている。
例文②
僕に先見の明があれば、株で大儲けできるのになぁ。
例文③
先見の明があると言われていた彼の事業は、失敗に終わったらしい。
例文④
この業界で成功している人たちは、先見の明があったのだろう。
例文⑤
経営者には先見の明が必要だ。
【先見の明を使う時の注意点】
「先見の明」は、未来のことを見通す力という意味で使われます。
一般的には「先見の明がある」と表現され、実際に予想していた通りになった時になったことを表します。
「先見の明」の類義語・言い換え5選
『先見の明』の類義語や言い換えの言葉は5つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 慧眼
- 一を聞いて十を知る
- 達見
- 予見
- 見通し
類義語①慧眼の意味
物事の本質を鋭く見抜く力。炯眼 (けいがん) 。
引用:goo辞書
彼は優れた慧眼をもっている。
類義語②一を聞いて十を知るの意味
物事の一部を聞いただけで全部を理解できる。賢明で察しのいいことのたとえ。一を以て万 (ばん) を知る。
引用:goo辞書
新入社員の田中さんはとても優秀で、一を聞いて十を知るタイプです。
類義語③達見の意味
物事を広く、また先々まで見通す、すぐれた意見・見識。達識。
引用:goo辞書
彼は思慮深く、達見である。
類義語④予見の意味
物事の起こる前に、その事を見通すこと。
引用:goo辞書
課長は今日、上層部が視察にくることを予見していた。
類義語⑤見通しの意味
物事のなりゆきや、将来のことを予測すること。
引用:goo辞書
2ヶ月先くらいまで、見通しをもって業務にあたるようにしています。
「先見の明」と「先見の目」の違いは?
「先見の明」と「先見の目」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「先見の明」には事が起こる前にそれを見抜く見識という意味がありますが、
それに対し「先見の目」には、「先見の明」の誤用です。
「先見の明」は、先々のことを見通す力のことを意味しますが、「先見の目」という表現はなく「先見の明」の誤表記です。
正しく「先見の明」と覚えましょう。
「先見の明」は英語で『foresight』
先見の明は英語の『foresight』に言い換えることができます。
英語の『foresight』には
- 先見の明
- 洞察
- 見通し
などという意味があります。
「先見の明」の対義語・反対語は『見る目がない』
先見の明の対義語は、『見る目がない』になります。
見る目がないには
- 物事を正しく評価・洞察するための知識や観察力を持ち合わせていない
- 物事を正しく評価・洞察する能力がないさま
などの意味があり、物事を正しく評価・洞察するための知識や観察力を持ち合わせていないことを表す際に用いられます。
友達に、女性を見る目がないなと言われた。
事が起こる前にそれを見抜く見識という意味の「先見の明」に対して、物事を正しく評価・洞察するための知識や観察力を持ち合わせていないことを表す「見る目がない」は、反対の意味の言葉として使うことができます。