「狼狽」という言葉には、「不意の出来事などにあわててうろたえること」という意味があります。
日常生活ではあまり使われない言葉ですので、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「狼狽」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「狼狽」の意味は『不意の出来事などにあわててうろたえること』
狼狽の読み方は「ろうばい」です。
語源は、伝説の生き物が関係していると言われています。
「狼」と「狽」は、どちらもオオカミの一種を表します。
「狼」は前足が長く、「狽」は後ろ足が長いという特徴があるため、離れると上手く歩けずに倒れてしまうという様子から、慌てて狼狽えるという意味をもつようになりました。
「狼」と「狽」のそれぞれの意味は、
- 「狼」は、動物のオオカミ
- 「狽」は、オオカミの一種である獣の名
この2つが合わさってできた言葉です。
『狼狽』には
- 不意の出来事などにあわててうろたえること
などの意味があります。
「狼狽」の正しい使い方を例文で紹介!
「狼狽」は、不意の出来事などにあわててうろたえることを表す際に使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
突然の別れ話に、私は狼狽した。
例文②
部屋に帰ると、母が狼狽した様子だった。
例文③
妹が狼狽した声で話し始めた。
例文④
買い物中に子供とはぐれてしまい、狼狽しているところを、見ず知らずの女性が助けてくれた。
例文⑤
狼狽する様子もなく、淡々とトラブル対応をする先輩は、やっぱり頼りになる。
【狼狽を使う時の注意点】
「狼狽」を使った言葉に「狼狽売り」というものがあります。
これは、予想外に急落した株を慌てて売ってしまうことを意味する用語です。
「狼狽」の類義語・言い換え3選
『狼狽』の類義語や言い換えの言葉は3つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 錯乱
- 当惑
- 大慌て
類義語①錯乱の意味
入り乱れて秩序がなくなること。ごちゃごちゃになること。特に、感情や思考が混乱すること。
引用:goo辞書
彼の浮気が発覚し、頭の中が錯乱状態だ。
類義語②当惑の意味
事にあたって、どうしたらいいか途方にくれること。
引用:goo辞書
突然彼から借金があることを知らされて当惑している。
類義語③大慌ての意味
非常に慌てること。また、そのさま。
引用:goo辞書
彼女の誕生日を忘れていて、大慌てでプレゼントを買いに行った。
「狼狽」と「動揺」の違いは?
「狼狽」と「動揺」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「狼狽」には不意の出来事などにあわててうろたえることという意味がありますが、
それに対し「動揺」には、心や気持ちがゆれ動くことという意味があります。
どちらも落ち着かない様子を表す言葉ですが、「狼狽」は突然起きた出来事によって慌てている言動を表すのに対して、「動揺」は心や気持ちが揺れ動くことを意味します。
似ている言葉ですが、ニュアンスが異なりますので時と場合に応じて使い分けましょう。
「狼狽」は英語で『confusion』
狼狽は英語の『confusion』に言い換えることができます。
英語の『confusion』には
- 混乱
- 乱雑
- 困惑
- ろうばい
- 混同(すること)
という意味があります。
「狼狽」の対義語・反対語は『泰然自若』
狼狽の対義語は、『泰然自若』になります。
泰然自若には
- 落ち着いていてどんなことにも動じないさま
などの意味があり、落ち着いていてどんなことにも動じない様子を表す際に用いられます。
課長はいつも落ち着いていて、泰然自若とした態度に憧れます。
不意の出来事などにあわててうろたえることという意味の「狼狽」に対して、落ち着いていてどんなことにも動じないさまという意味の「泰然自若」は、反対の意味の言葉として使うことができます。