「敵に塩を送る」という言葉には、「敵の弱みにつけこまず、逆にその苦境から救う」という意味があります。
ビジネスやスポーツ・政治の世界などで、ライバルを救う場面でよく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「敵に塩を送る」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
敵に塩を送るの意味は『敵の弱みにつけこまず、逆にその苦境から救う』
敵に塩を送るの読み方は「てきにしおをおくる」です。
戦国時代に、塩の不足に悩む甲斐の武田信玄に対し、敵将である上杉謙信が塩を送った故事が語源となっています。
『敵に塩を送る』には
- 敵の弱みにつけこまず、逆にその苦境から救う
などの意味があります。
「敵に塩を送る」の正しい使い方を例文で紹介!
「敵に塩を送る」は、ビジネスやスポーツ・政治の世界などで、ライバルを救う場面で使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
コンペで争っているライバル会社がパソコンのトラブルで困っていたので、敵に塩を送る気持ちで解決策をアドバイスしました。
例文②
業界トップを争うライバル会社が震災で大打撃を受けたとき、社長は敵に塩を送る精神で物資や人手を提供したと聞きました。
例文③
同じ昇進試験を受ける同期が対策に悩んでいたので、敵に塩を送る気持ちで、先輩のアドバイスや面接対策などを共有した。
例文④
試合中に倒れた相手チームの選手に水や保冷剤を渡している姿を見て、敵に塩を送るような素晴らしい姿勢だと思いました。
例文⑤
政治的に対立する議員ではあるが、行き過ぎた人格攻撃の報道に苦言を呈したことで、敵に塩を送るような言動が世間から評価された。
【敵に塩を送るを使う時の注意点】
基本的には美談を語るときに用いる言葉ですが、文脈によっては皮肉を込めた言い方にも聞こえるので、使い方には注意が必要です。
「敵に塩を送る」の類義語・言い換え2選
『敵に塩を送る』の類義語や言い換えの言葉は2つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 呉越同舟
- ハンデ(ハンディキャップ)を与える
類義語①呉越同舟の意味
仲の悪い者どうしが同じ所に居合わせたり、行動を共にしたりすること。また、敵対していてもいざというときには共通の困難や利害のために協力し合うこと。
引用:goo辞書
業界1位と2位のライバル会社同士が協力し、呉越同舟で新商品を開発するというニュースを見ました。
類義語②ハンデ(ハンディキャップ)を与えるの意味
- スポーツ競技などで、技量差のある者同士の均等をはかるために、強者につける不利な条件。また、弱者に与える有利な持ち点。ハンデ。
- 弱者から見た強者との差。立場を不利にする条件。ハンデ。
引用:goo辞書
公平な審査とするために、経験者にはより難しい課題を用意するなど、ハンデを与えることにしています。
「敵に塩を送る」は英語で『show humanity even to one's enemy』
敵に塩を送るは英語の『show humanity even to one's enemy』に言い換えることができます。
英語の『show humanity even to one's enemy』には
- 敵に塩を送る
という意味があります。
「敵に塩を送る」の対義語・反対語は『傷口に塩』
敵に塩を送るの対義語は、『傷口に塩』になります。
傷口に塩には
- 状態のよくないところになお悪いことが降りかかる
- 傷ついた心をさらに痛めつける
などの意味があり、悪いことに悪いことが重なり状況が悪化する様子を表すときに用いられます。
仕事でミスをして落ち込んでいる後輩の傷口に塩を塗るようで酷だが、資格試験の不合格を通知しなければならない。
「敵に塩を送る」は敵の弱みにつけこまず、逆にその苦境から救うという意味で使われ、「傷口に塩」は状態のよくないところになお悪いことが降りかかるという意味で使われます。