「斟酌」という言葉には、「相手の事情や心情をくみとり手加減すること」という意味があります。
政治・裁判・ビジネスなど少し堅い場面でよく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「斟酌」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「斟酌」の意味は『相手の事情や心情をくみとり手加減すること』

斟酌の読み方は「しんしゃく」です。
語源は、酒などをくみかわすという意味がから来ており、それが転じて先方の事情や心の状態をくみとるという意味で使われるようになりました。
- 「斟」はくむ・おしはかる
- 「酌」は酒をつぐ・くむ・先方の意見や事情をくみとる
の2つが合わさってできた言葉です。
『斟酌』には
- 相手の事情や心情をくみとって手加減すること
- あれこれ照らし合わせて取捨すること
- 言動を控えめにすること・遠慮すること
などの意味があります。
「斟酌」の正しい使い方を例文で紹介!

「斟酌」は、使うシーンによって少しずつ意味が変わってきます。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①相手の事情や心情をくみとって手加減することの意味で使う時
相手の事情や心情をくみとって手加減することを表現する時に使われます。
【例文①】

A先生はプライベートな事情を知っているので、採点に斟酌したのではないかと思っています。
【例文②】

彼はまだ若いし、そこに斟酌して今回は許す方向になりました。
例文②あれこれ照らし合わせて取捨することの意味で使う時
あれこれ照らし合わせて取捨することを表す時に使われます。
【例文①】

プロジェクトを成功させる為には、市場の状況を斟酌して価格を決める必要があります。
【例文②】

たくさんのお客様の意見を斟酌して出来上がった商品です。
例文③言動を控えめにすること・遠慮することの意味で使う時
言動を控えめにすること・遠慮することを表す時に使われます。
【例文①】

今現在のSNSでは、斟酌のない批判が飛び交っています。
【例文②】

今後、参考にさせていただきたいので、ぜひ斟酌のない批評をお願いいたします。
【斟酌を使う時の注意点】
「斟酌」は主に事情や状況などを考慮して適切に行動することを意味し、相手の事情を考えに含めることを表す時に使われます。
また、例文②のあれこれ照らし合わせて取捨することや、
例文③の言動を控えめにすること・遠慮することの意味で使われることもあります。
「斟酌」の類義語・言い換え5選

『斟酌』の類義語や言い換えの言葉は5つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 忖度
- 考慮
- 配慮
- 勘案
- 取り計らう
類義語①忖度の意味

政治家は誰に忖度しているのか、国民の声を聞いてはくれない。
類義語②考慮の意味

子ども達の体調にも考慮しながら、遊びに行きたいと思っています。
類義語③配慮の意味

彼女に対して、配慮に欠ける行動だったと思います。
類義語④勘案の意味

さまざまな年代のお客様からの意見を勘案して作られた商品です。
類義語⑤取り計らうの意味
物事がうまく運ぶように考えて処理をする。
引用:goo辞書

彼女に楽しんでもらえるように取り計らうのは当然のことです。

「斟酌」と「忖度」の違いは?

「斟酌」と「忖度」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「斟酌」には相手の事情や心情をくみとって手加減することという意味がありますが、
それに対し「忖度」には、他人の心をおしはかること・おしはかって相手に配慮することという意味があります。
どちらにも推し量るという意味がありますが、「斟酌」は目上の人だけではなく、対等な人や目下に対しても使われます。
一方で、「忖度」は目上の人に対して使われることが多い言葉です。
また、心情などを汲み取ることを指す「忖度」に対し、「斟酌」は汲み取ったうえで加減したり控えたりするというニュアンスで使われます。
忖度は悪い意味で使われることも多くなりましたが、斟酌には悪いイメージはありません。
「斟酌」は英語で『take into consideration』

斟酌は英語の『take into consideration』に言い換えることができます。
英語の『take into consideration』には
- ~を考慮に入れる
という意味があります。
「斟酌」の対義語・反対語はありません

斟酌の対義語は、ありません。
