「十二分」という言葉には、「十分すぎるほどたっぷりしていること」という意味があります。
物事が十分であることを強調するときによく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「十二分」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
十二分の意味は『十分すぎるほどたっぷりしていること』
十二分の読み方は「じゅうにぶん」です。
語源には諸説ありますが、中国語の「十二分」が由来になっているという説と、120%を表しているという説があります。
中国語の「十二分」も、日本語と同様に十分を強めた言葉として使われているので、この言葉が語源となって、日本語でも同じ意味で「十二分」という言葉が使われるようになったと考えられています。
もうひとつは、日本語の「十分」は等しく十に分けることという意味があり、等分した1/10のかたまりの12個分で「十二分」としたという説です。
つまり、十分を100%としたとき、十二分は120%となり、十分よりもたっぷりであるという考え方です。
『十二分』には
- 十分すぎるほどたっぷりしていること
などの意味があります。
「十二分」の正しい使い方を例文で紹介!
「十二分」は、物事が十分であることを強調するときに使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①

このチームなら、今年の大会で優勝する可能性は十二分にある。
例文②

面接ではとても緊張したが、練習の成果を十二分に発揮できたと思う。
例文③

昨日の雨で地面が濡れているので、お足元には十二分に注意してください。
例文④

混雑時にも対応できるように、品物は十二分に用意しています。
例文⑤

彼は十二分に活躍してくれたので、無事にプロジェクトを収めることができた。
【十二分を使う時の注意点】
「十分」をさらに強調する意味で使われるので、使い方によっては「過剰である」「やりすぎである」といった皮肉的な表現になってしまうこともあり、注意が必要です。
「十二分」の類義語・言い換え4選
『十二分』の類義語や言い換えの言葉は4つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 存分
- 充分
- 遺憾なく
- 申し分ない
類義語①存分の意味
物事を思いどおりにすること。満足のゆくまですること。また、そのさま。
引用:Weblio辞書

三ツ星レストランの料理を存分に味わった。
類義語②充分の意味
- 満ち足りて不足のないさま。充実して完全であるさま。
- 思い残すところのないさま。思うまま。
- 必要なだけ、またはそれ以上あるさま。
引用:Weblio辞書

初めてやるゲームですが、彼の説明を聞いただけで、充分にルールを理解できました。
類義語③遺憾なくの意味
心残りがないほど十分に。申し分なく。
引用:Weblio辞書

彼はそのコンクールで、今まで培った技術を遺憾なく発揮した。
類義語④申し分ないの意味
不満に思ったり欠点として指摘したりする部分がなく、十分満足する様子。言う事なし。
引用:Weblio辞書

彼女の成績は、推薦を受けるのに申し分ないものだった。

「十二分」と「十分」の違いは?
「十二分」と「十分」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「十二分」には十分すぎるほどたっぷりしていることという意味がありますが、
それに対し「十分」には、満ち足りて不足のないさまという意味があります。
どちらも不足なく満足できる様子を表す言葉ですが、「十二分」は「十分」よりも余裕があり、より満たされている状態を指します。
「十二分」は英語で『more than enough』
十二分は英語の『more than enough』に言い換えることができます。
英語の『more than enough』には
- 十二分(で、に)
- うんざりするほど
という意味があります。
「十二分」の対義語・反対語は『不十分』
十二分の対義語は、『不十分』になります。
不十分には
- 十分でないさま
- 足りていない部分がある様子
などの意味があり、物事に不足がある様子を表すときに用いられます。

事前のリサーチが不十分だったため、取引先からの質問にうまく答えられなかった。
「十二分」は十分すぎるほどたっぷりしていることという意味で使われ、「不十分」は十分でないさまという意味で使われます。
