「一任」という言葉には、「物事の処理・決定のすべてをまかせること」という意味があります。
ビジネスシーンでよく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「一任」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「一任」の意味は『物事の処理・決定のすべてをまかせること』
一任の読み方は「いちにん」です。
語源は漢字の「一」と「任」から成り立っており、
- 「一」はひとまとまり
- 「任」は自由にさせる、まかせる
の2つが合わさってできた言葉です。
『一任』には
- 物事の処理・決定のすべてをまかせること
- 律令制で、一人の官の限られた任期
などの意味があります。
「一任」の正しい使い方を例文で紹介!
「一任」は、ビジネスシーンでよく使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①

この企画に関しては、チームリーダーに一任しています。
例文②

商品のパッケージについては、デザイン担当に一任しています。
例文③

社内ミーティングの進行は、新入社員に一任されるのが慣例です。
例文④

確定申告については税理士の先生に一任しています。
例文⑤

店舗運営を一任されたが、プレッシャーが大きい。
【一任を使う時の注意点】
すべてを任せるという意味なので、目上の人に対して使うには適しません。
「一任」の類義語・言い換え4選
『一任』の類義語や言い換えの言葉は4つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 委任
- 委託
- 依頼
- 信託
類義語①委任の意味
- 仕事などを、他人にまかせること。委託すること。
- 当事者の一方(委任者)が相手方(受任者)に一定の事務の処理を委託し、相手方がこれを承諾することによって成立する契約。
引用:Weblio辞書

この仕事については部下に委任しています。
類義語②委託の意味
- ゆだね任せること。人に頼んで代わりにやってもらうこと。
- 契約などの法律行為やその他の事務処理を他人に依頼すること。
- 客から取引所の取引員に注文を出すこと。
引用:Weblio辞書

SNSの運用は専門会社に委託しています。
類義語③依頼の意味
- 人に用件を頼むこと。
- 他人を当てにすること。頼み。
引用:Weblio辞書

絵の得意な友人に、結婚式のウェルカムボードの作成を依頼した。
類義語④信託の意味
- 信用して任せること。
- 他人に財産権の移転などを行い、その者に一定の目的に従って財産の管理・処分をさせること。
引用:Weblio辞書

現政権は国民の信託に応えているか、見極める必要がある。

「一任」と「一存」の違いは?
「一任」と「一存」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「一任」には物事の処理・決定のすべてをまかせることという意味がありますが、
それに対し「一存」には、自分一人だけの考えという意味があります。
どちらも物事を決定する場面で多く使われる言葉ですが、「一任」は人に処理や決定をまかせるという意味で使われ、「一存」は自分一人だけ考えで何かを決めたりするときに使われます。
字面の似ている2つの言葉ですが、まったく意味が異なります。
「一任」は英語で『entrust』
一任は英語の『entrust』に言い換えることができます。
英語の『entrust』には
- 任せる
- 委託する
という意味があります。
「一任」の対義語・反対語は『干渉』
一任の対義語は、『干渉』になります。
干渉の意味
- 他人のことに立ち入って自分の意思に従わせようとすること。
- 国際法で、一国が他国の内政・外交に、その国の意思に反して介入すること。
- 二つ以上の同じ種類の波が重なって、互いに強め合ったり弱め合ったりする現象。音波でのうなり、光波での干渉色によるシャボン玉の色づく現象など。
引用:Weblio辞書
干渉には
- 他人のことに立ち入って自分の意思に従わせようとすること
- 国際法で、一国が他国の内政・外交に、その国の意思に反して介入すること
- 二つ以上の同じ種類の波が重なって、互いに強め合ったり弱め合ったりする現象
などの意味があり、他人のことに立ち入るさまを表すときに用いられます。

新人に対して仕事のやり方に干渉しすぎると、やる気を削いでしまうから気を付けなければならない。
「一任」は物事の処理・決定のすべてをまかせることという意味で使われ、「干渉」は他人のことに立ち入って自分の意思に従わせようとすることという意味で使われます。
