「甚振る」という言葉には、「痛め付けたり、嫌がらせをする」などという意味があります。
日常生活ではあまり使われない言葉ですので、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「甚振る」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「甚振る」の意味は『痛め付けたり、嫌がらせをする』など
甚振るの読み方は「いたぶる」です。
語源は甚だしく振ることを意味する「甚振る(いたふる)」です。
激しく揺さぶる、苦しめるという意味でつかわれていた「甚振る」から転じて、近年では、おどすことやいじめることという意味で使われるようになりました。
『甚振る』には
- 激しく揺り動かす
- おどして金品をとる
- 痛め付けたり、嫌がらせをする
- ゆする
- 激しくゆれる
などの意味があります。
「甚振る」の正しい使い方を例文で紹介!
「甚振る」は、おどして金品をとることや痛め付けたり、嫌がらせをすることを表す際に使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①

敵が主人公を甚振るシーンは見ていられなかった。
例文②

子供が甚振られるシーンは、ドラマであっても胸が痛む。
例文③

その女優はメディアから一斉に甚振られている。
例文④

彼は権力を盾に、部下を精神的に甚振っていた。
例文⑤

同僚が甚振られているのを黙って見てはいられない。
【甚振るを使う時の注意点】
肉体的・精神的に相手を痛めつける、苦しめるという意味で使われる「甚振る」は、一般的にはひらがなで「いたぶる」と表記されることが多いです。
過激で陰湿なニュアンスで使われるため、使用の際には注意しましょう。
「甚振る」の類義語・言い換え4選
『甚振る』の類義語や言い換えの言葉は4つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 痛めつける
- 責める
- なぶる
- ゆする
類義語①痛めつけるの意味
肉体的または精神的に、ひどい苦痛を与える。痛い目にあわせる。
引用:Weblio辞書

長時間労働が彼の心身を痛めつけていた。
類義語②責めるの意味
苦痛を与えていじめ苦しめる。いためつける。
引用:Weblio辞書

部長にミスを責められて辛い思いをした。
類義語③なぶるの意味
弱い立場の者などを、おもしろ半分に苦しめたり、もてあそんだりする。
引用:Weblio辞書

彼は相手をなぶるような話し方をする。
類義語④ゆするの意味
1 ゆり動かす。
2 人をおどして金品を出させる。
3 ゆれ動く。ゆれる。
引用:Weblio辞書

弱みを握って他人をゆするのは犯罪です。

「甚振る」と「虐める」の違いは?
「甚振る」と「虐める」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「甚振る」には痛め付けたり、嫌がらせをするという意味がありますが、
それに対し「虐める」には、弱いものを苦しめ、痛めつけるという意味があります。
どちらも相手に苦痛を与えることを意味しますが、「甚振る」はより激しい行為を表すことが多く、「虐める」は日常的な嫌がらせやいじめ行為全般に広く使われます。
似ている言葉ですが、ニュアンスが若干異なりますので時と場合に応じて使い分けましょう。
「甚振る」は英語で『excruciate』
甚振るは英語の『excruciate』に言い換えることができます。
英語の『excruciate』には
- (肉体的または精神的に)苦しめる
- 責めさいなむ
という意味があります。
「甚振る」の対義語・反対語は『慈しむ』
甚振るの対義語は、『慈しむ』になります。
慈しむには
- 目下の者や弱い者に愛情を注ぐ
- かわいがって大事にする
などの意味があり、かわいがって大事にすることを表す際に用いられます。

母は子どもを慈しむように看病した。
痛め付けたり、嫌がらせをするという意味の「甚振る」に対して、かわいがって大事にするという意味の「慈しむ」は、反対の意味の言葉として使うことができます。
