「善処」という言葉には、「 適切に処置すること」という意味があります。
ビジネスシーンや政治家の答弁などでよく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「善処」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「善処」の意味は『適切に処置すること』
善処の読み方は「ぜんしょ」です。
「善」と「処」は小学6年生で習う漢字で、
- 「善」は物事にうまく対処する・よく・行いや性質などが好ましい・よいこと
- 「処」はとりはからうとりさばく
の2つが合わさってできた言葉です。
『善処』には
- 適切に処置すること
- 仏語・来世に生まれるべきよい場所・人界・天上・諸仏の浄土など
などの意味があります。
「善処」の正しい使い方を例文で紹介!
「善処」は、使うシーンによって少しずつ意味が変わってきます。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①「善処します」の使い方
善処しますは、起こった物事に対して、状況に合わせて適切に対処するという意味で使われます。
ビジネスシーンなどにおいて、上司や取引先などからなにか依頼があったときの返答としてに使われます。
また、すぐに明確な答えを出せない時にやんわりと断わったり、一旦保留する際にも使います。
【例文①】
その件に関しましては、上司と相談の上善処します。
【例文②】
交際を申し込まれたが、あまり気乗りしないので「善処します」と言っておいた。
例文②「善処を尽くす」の使い方
善処を尽くすは、できる限り対処するという意味で使われます。
ビジネスシーンで多く使われ、「尽くす」は「できる限りのことをする」や「全力で」という意味があり、できる限り全力で対処する際に使われます。
【例文①】
この件に関しまして善処を尽くしますので、今後ともよろしくお願いいたします。
【例文②】
締め切りまで善処を尽くして頑張ります。
例文③「後生善処」の使い方
後生善処は、仏語で来世に生まれるべきよい場所という意味で使われます。
「後生善処」は仏教の言葉で、一般的にはあまり使われることはありません。
【例文①】
法華経に、現世安穏後生善処という教えがあります。
【例文②】
「現世安隠にして、後に善処に生じ」は、法華経を信じる人は、現世では安穏に生活でき、 後生ではよい世界に生まれることを意味している。
【善処を使う時の注意点】
ビジネスシーンを中心に政治や恋愛などの日常生活においても幅広い場面で使われている言葉です。
「善処します」は、「できる限り対応します」という意味で、明確に対処すると言えず「できるだけ頑張ります」という意味で使われ、返事としては曖昧な対応と受け取られる場合があります。
恋愛で使う場合は、ネガティブな表現になることが多く、マイナスイメージでのニュアンスで受け取られる場合があるので、注意が必要です。
明確な返事が必要になる場合は、「善処します」という表現は使わないようにしましょう。
「善処」の類義語・言い換え4選
『善処』の類義語や言い換えの言葉は4つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 対処
- 対応
- お取り計らい
- 努める
類義語①対処の意味
ある事柄・状況に合わせて適当な処置をとること。
引用:goo辞書
環境の変化に対処するのが大変でした。
類義語②対応の意味
- 同種の二つのものが向かい合い、対(つい)になっていること。
- ある物事が、他の範疇(はんちゅう)に属する物事と、対立・相当する関係にあること。
- 互いにつりあいがとれていること。
- 周囲の状況などに合わせて事をすること。
引用:weblio辞書
早速、丁寧に対応していただき、ありがとうございました。
類義語③取り計らうの意味
物事がうまく運ぶように考えて処理をする。
引用:weblio辞書
この間の件ですが、Aさんのほうからお取り計らいくださり、ありがとうございました。
類義語④努めるの意味
- 精を出して仕事をする。努力して事を行う。
- 無理をしたり、がまんしたりして行う。こらえてする。
引用:goo辞書
最近の物価上昇に伴い、私は節約に努めています。
「善処」と「対処」の違いは?
「善処」と「対処」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「善処」には適切に処置することという意味がありますが、
それに対し「対処」には、ある事柄・状況に合わせて適当な処置をとることという意味があります。
「善処」と「対処」という言葉は、どちらも適切な処置をすることを意味する言葉です。
「善処」は最良の方法で処理することを指し、何か問題やミスが生じたときに使われる傾向がありますが、
「対処」は出来事や状況の変化などに応じて適した処理をすることを指し、何か問題やミスが生じたときだけでなく、予期しない出来事・人や物の管理などにも使われる言葉です。
「善処」は対応を迫られたり、ミスをしたりした時に使われるので、その場しのぎでの「努力します」の意味合いに受け取られる場合があります。
「善処」は英語で『act accordingly』
善処は英語の『act accordingly』に言い換えることができます。
英語の『act accordingly』には
- 善処する
- それに応じて行動する
という意味があります。
「善処」の対義語・反対語は『放置』
善処の対義語は、『放置』になります。
放置には
- そのままにしてほうっておくこと
- 所かまわず置きっぱなしにしておくこと
などの意味があり、仕事や物事・問題などを放っておくことを表すときに用いられます。
問題をのまま説明せずに放置している政治家のにうんざりしている。
「善処」は適切に処置することを意味しますが、「放置」はほうっておいて処置しないことを意味します。