夏の甲子園出場おめでとう!〜沖縄尚学高校野球部〜

おきなわ倶楽部 WEB号 vol.005

2019-08-08 公開   2019-09-04 更新

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この夏に込めた様々な思い
注目は甲子園出場を支える“サポート選手”

延長に及んだ県大会の決勝戦。甲子園出場を勝ち取ったのは5年ぶりとなる沖縄尚学だった。マウンドの選手はもちろん、ベンチもスタンドも家族も、手に汗握る緊張感と高まる期待に、決まった瞬間は涙で溢れていた。

そんな試合で活躍したのは、きっと汗だくでプレーした選手だけではないはず…と、挫折人生を歩んできた筆者は思い練習場へ。ここではベンチにもマウンドにもいないけれど、欠かすことが出来ない大事なメンバーにスポットを当て、甲子園出発2日前の準備に忙しく動き回る生徒たちと監督に話を聞いた。

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まずはキャプテンを見つけてお声掛け。シッカリとした受け答えと身のこなし、挨拶、立ち姿、全てに感動。

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水谷 留佳 主将(3年)

キャプテンからみてチームの特色はどんな部分ですか?
「一人一人の能力はそんなに高くない分、チームワークはどのチームよりもあると思います。県大会の決勝戦でも延長に入ってからも粘り強く、チーム全体で掴み取った勝利だと思います」

甲子園出場決定までどんな事がありましたか?
「昨年秋にはノーヒットノーランで破れ、結果が出せない時期が長く続いた頃はキャプテンを辞めたいと悩みました。比嘉監督から『お前は夏に自分の納得する結果を残してほしい』と励ましてもらい、もう一度やる気を出してここまで辿り着けました。甲子園でホームランを打ちたいですし、チームの勝利はもちろん、自分自身も活躍出来ればと思います」

後輩やサポートメンバーへの気持ちを教えてください。
「試合に出てるメンバーには2年生も多いので、1試合でも多く勝って上位チームと戦い、優勝を後輩たちと味わいたいです。そして何より、おにぎりやプロテインを準備してくれたり、応援や整備・片付けの細かい部分まで、ベンチに入っていない3年生が率先して動いてくれて、その活躍が無いとここまで来れなかったと思っています。本当に感謝でいっぱいです」

キャプテンからの注目選手はどなたですか?
「そのサポートメンバーで特に応援を頑張ってくれた松田育也君は、キャラも濃く面白いので注目してほしいですね」

最後に意気込みを聞かせてください。
「自分の甲子園でのバッティングを、ぜひ多くの人に見てほしいです!応援よろしくお願いします!」

注目選手はベンチ外!驚きはしたものの、やはり全員の勝利や活躍には外せない裏方さんの名前が出たことにさらに感動し、そのサポートメンバーが忙しく動き回るプレハブ小屋へ。おにぎりを配る2人に話を聞いた。

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新里 佳哉さん(3年)

「僕たちはおにぎりやプロテインを手作りするなど、練習中のサポートを3年生が中心となってやってきました。ノックのランナーをする時にヘッドスライディングや派手なプレーをして場を盛り上げたり、落ち込んでいるメンバーには今まで厳しい練習を一緒に乗り越えてきた話をして励ましたり、みんなの背中を押して来ました。甲子園へ行くための合宿でも、一緒に過ごす時間を大切に楽しみながら、全力のプレーにつながるように背中を押していきたいです」

残る後輩たちへ伝えたいことはありますか?
「自分がベンチから外れた時は悔しかったけど、こういう経験が人生ではとても大切になると思うので、今チームで自分が出来る事をしっかり考えて続けていってほしいです」

チームや監督への思いはありますか?
「自分たちの思いをサポートに込めてやってきました。出場選手には、その思いを引き継いで僕らの分まで思いっきりプレーしてほしいです。2年ちょっとの期間、人間として成長できた事を自分で感じます。その裏には比嘉監督の厳しさや優しさが毎日ありました。感謝してもしきれない気持ちです、ありがとうございます」

松田 育也さん(3年)

「僕自身はバッティング練習のピッチャーなどを努めてきました。どれだけ練習しても、自分が試合に出れる訳では無いという葛藤もありましたが、その気持ちを押し殺し全員の為にやるという事はとても大事だと思いました。ふてくされた態度では『何だこいつ?』と場も自分のモチベーションも悪くなるので、そういった所をしっかり考えて乗り越えて頑張れたと思います。甲子園で過ごす時間は、仲間たちと過ごす最後の時間なので、色々な思い出が作れたら良いなと思います」

キャプテンの注目選手は松田さんですが、いかがですか?
「ヘッドスライディングをするのはまさしく自分でしたから!ベンチメンバー外はそういった面や声で盛上げる事が努めで、自分が出来る事を一生懸命やろうと考えたので嬉しいです」

チームや監督への思いはありますか?
「とにかく自分たちの分まで甲子園で暴れてほしいです。比嘉監督には野球の事よりも、人間としての成長の部分をしっかり教わったと思います。社会に出てからもその教えを役立てて成長していきたいです、ありがとうございます」

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チームをサポートするメンバーたちの笑顔が素晴らしく、元気をもらった!

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まさに「ゆかり」タップリににぎられたおにぎりとプロテインを配っている最中。

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全員の手に渡るように大量生産、もらった選手は思わずニコリ。

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選手1人ずつに手作りの応援ボードを作成。これも手書きでそれぞれに特徴がある。

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全員が悔しく辛い日々を乗り越え、みんなを支える明るい笑顔で写真に応じてくれた。

最後はやはり監督にお声かけ。自らも同校の選手として甲子園を経験した比嘉監督。監督就任後は、同チームからプロ選手も輩出する名将として指揮を取り続けている。監督から伺ったお話は、社会人デビュー20年ほどの筆者の心にも強く響く「人間力の成長」を学ぶ言葉だった。

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比嘉 公也 監督

99年春に沖縄尚学エースとして甲子園に出場し県勢初優勝を果す。06年より同校野球部監督に就任し08年春には指導者として再び全国制覇、当時のエースは東浜選手。

甲子園出場へ向けて特別な対策はされましたか?
「暑さ対策ですね。沖縄は日差しが強いですが県外は暑さの質が違うので、蒸し暑さ対策にカッパを着て練習を行ったりしました」

今年のチームはどんな特色がありますか?
「キャプテンのバッティングも注目ではありますが、決して個々の能力は高くはないかもしれません。ですが一人一人がしっかり責任を果たす事ができる強いチームです。その責任が戦う上で粘りに繋がっていて、ここへ来るまでもその粘りが重要でした」

これが最後の戦いとなる3年生はどんな生徒さんでしたか?
「チーム全体で動いている時は、挨拶ができ時間も守り、掃除も率先して動くけれど、1人になるとその部分が甘くなることが多かったです。学年を追うごとに少しずつ各々が成長し、1人でも動ける人間になり、野球以外の部分でも成長を感じます」

比嘉監督が野球を通して伝えたいのはどんなことですか?
「時間の使い方です。自己実現の為にどう時間を過ごすのか、100点ではないけれどみんな成長したと思います。『時間があればやる』という考えに、『時間はある』と気付いてもらい、なら『どこにあるのか、どう使うべきか』を考える事を伝えて来ました。今は甲子園に向けて野球を通して学んでますが、いつか野球を離れてどんな仕事についても、ベースになる部分は変わらないと思うのでそれを大事にしています。そして生徒みんな、高校生は高校生なりに一生懸命頑張ってます。応援よろしくお願いします」

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出場している選手はもちろんだが応援スタンドにも注目して欲しいと、誰もが口を揃えて話してくれた沖縄尚学高校野球部。今年も応援の演奏は市立尼崎高校吹奏楽部が担当してくれるが、これまでの県大会では他校にない選曲やオリジナリティ溢れる応援で盛り上げてきたという。甲子園では全てを同じ様には出来ないが、可能な限り“らしさ”溢れる応援と、生徒全員の熱い気持ちを見せたいと教えてくれた。

初戦は大会4日目の第3試合、8月9日(金)13:00頃予定。今年もこの時間は県内どこでも交通量が減り、みんながテレビやラジオに注目する“沖縄の夏”がやってくる。

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これまでの県大会の様子や甲子園での速報は、QAB「めざせ甲子園」サイトでもご紹介中。
熱戦の興奮と感動を思い出しながら、甲子園での活躍を応援しよう!

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「めざせ甲子園」
https://www.qab.co.jp/mezase/

写真・文:編集部ちー