元祖を知る喜び [一人旅 × ラーメン 麺コラム]

麺コラム

2020-05-10 公開   2020-04-23 更新

一人旅が趣味になった30代後半、旅先では誰にも遠慮なく、3食全てラーメンを堪能するのだが、可能な限り「その場所でしか食べられない店」を選ぶ。そんな時ポイントになりやすいのが『元祖・本家』というワードである。今や豊富すぎる種類にも必ずルーツがあり、そこから発展した味や文化が存在する。その面白さを知ると、いつものラーメンの後ろも、長ーく伸びる『歴史の路』が見え、「あぁ私と出会ってくれて有難う、ゆっくりと堪能するよ」と、より語り合える気がしてくるのだ。横浜を訪れた際、中華街へは直行せずに、まず立ち寄ったのが、あの「バナナお持ち帰りください」でも話題の、家系の元祖『吉村家』だ。昼過ぎに到着し、勿論1時間半の行列。途中スタッフの案内で、一度店内に入り自販機で「色のついた札」を購入。カウンターに座れば、家系では珍しい速さで麺が登場。濃い味だが飲み干せるスープ、白米に合うスープとして有名だが、個人的にこの太麺以外に合わせたくない、麺とスープの絆を感じる味だった。硬めの麺をあまり噛まずに飲み込む快感は、出来れば月イチで味わいたいものである。目眩がする程満腹ではあるが、帰りがけにはしっかり、みかん(?)を持ち帰ったのだった。

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家系総本山 吉村家 チャーシュー麺 中盛970円
時代と逆行するようなシンプル味の肉は、スープに負けないしっかり歯ごたえでうっすら塩味。


最近は京都へ人生初の紅葉を見る旅にでかけたのだが、知る人ぞ知る激戦区である。様々な本店がひしめく中、初京都なので選んだのはベタ中のベタだが『天下一品』。沖縄にも店は多く、どこでも食べられるし、沖縄から姿を消した『天天有』とも迷ったのだが、本店は一度食べるべき感動があると聞いていたので決定。評判通り、本店を知ると他のこってりがインスタントに思える!ドロっとするだけでなくちゃんと流れがあり、こっさりに近い。しかし驚きは食後、天一スープを飲み干した帰りは喉が渇くのが通例だったが、全く胸焼けも乾きもない!

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天下一品 総本店 こってりラーメン(並)680円
いつもより色は濃く見えるが流れにスムーズさを感じる。とにかくこっちは白米を入れたい。


元祖を探すのにいつも困るのが博多豚骨。店が多すぎてどれが正解か分からず、どこも旨い。評価や噂もバラバラで、必殺「タクシー運ちゃんに聞け」が発動した土地だ。3人に聞いた(仕事柄、数名に聞いてしまう)結果、口を揃え「旨い・安い・早い」と聞いた深夜も行列の『博多ラーメン膳』へ。替玉必須、隣の兄ちゃんは3回ぺろりと食べた。甘くまろやかな白スープにハード麺は好みど真ん中。完成度は高く安すぎて不安になったので、替え玉を2回しておいた。

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博多ラーメン 膳 天神メディアモール店 おいしいラーメン 320円
替え玉2回で他に1杯分のお値段。スープが無くなるまで替え玉する勇者たちを何名の見ることが出来る。


そんな麺好きルーツは、幼い頃に父と通った神戸『もっこす』。神戸ラーメンを濃い目にアレンジした名店で、山盛りチャーシューを見ると「帰ってきたなぁ」と落ち着く。ニンニクチップと辛味噌をタップリ入れ、肉で麺を巻きながら頬張ると、絡んだスープが染み出し頬がキュッと鳴る。次の元祖はどこにしよう…と、毎年、原点回帰しながら考える時はこの味と一緒だ。

代理テキスト


もっこす 総本店 チャーシューメン 1,000円
1杯に対する麺量が標準で多く感じる。薄切りでパサッとした肉は、何枚でも食べられるシンプルアジ。

2020.1月号