「悪事千里を走る」という言葉には、「悪い行いはすぐに世間に広まる」という意味があります。
悪事を行わないよう戒めるための例えとしてよく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「悪事千里を走る」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
悪事千里を走るの意味は『悪い行いはすぐに世間に広まる』
悪事千里を走るの読み方は「あくじせんりをはじる」です。
言葉の由来は、中国で生まれた書物の『北夢瑣言(ほくむさげん)』です。
この中に登場する一文の「好事門を出でず、悪事千里を行く」から、広く使われるようになりました。
『悪事千里を走る』には
- 悪い行いはすぐに世間に知れ渡る
などの意味があります。
「悪事千里を走る」の正しい使い方を例文で紹介!
「悪事千里を走る」は、悪事を行わないよう戒めるための例えとして使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
悪事千里を走ると言いますから、普段の行いには注意を払ってください。
例文②
どんなに巧妙に隠しても、悪事千里を走ると言うのだから、甘い考えはやめておけ。
例文③
左遷の理由は伏せされていたのに、社員はみんな知っていたから、悪事千里を走るとはこのことだなと思いました。
例文④
SNSでのよくない発言が瞬く間に広がっていくのを見ると、悪事千里を走るとは本当だなと実感する。
【悪事千里を走るを使う時の注意点】
「悪事千里を走る」は「悪い行いはすぐに広まる」という意味で使われ、「悪い手法はすぐに浸透する」という意味ではないので、使い方に注意が必要です。
「悪事千里を走る」の類義語・言い換え3選
『悪事千里を走る』の類義語や言い換えの言葉は3つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 人の口には戸が立てられない
- 隠すより現る
- 隠れたるより見るるはなし
類義語①人の口には戸が立てられないの意味
世間のうわさや評判は止めることはできない。
引用:goo辞書
人の口には戸が立てられないと言うから、本当に知られたくないことは誰にも話してはいけない。
類義語②隠すより現るの意味
隠そうとすると目立って、かえって外へ知れやすい。
引用:goo辞書
彼が隠し事をして態度に出ているさまは、まさに隠すより現ると言った感じだ。
類義語③隠れたるより見るるはなしの意味
- 人に隠れて悪事をして、だれも知らないと思うのは誤りで、自分が知っているのだから、これ以上明らかなことはない。
- 秘密はかえって世間に知られやすい。隠すより現る。
引用:goo辞書
水面下で進めていたはずの話が、あっという間に社内に広まってしまい、隠れたるより見るるはなしとはこのことかと思った。
「悪事千里を走る」と「開いた口には戸は立たぬ」の違いは?
「悪事千里を走る」と「開いた口には戸は立たぬ」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「悪事千里を走る」には悪い行いはすぐに世間に知れ渡るという意味がありますが、
それに対し「開いた口には戸は立たぬ」には、噂は止めようとしても広まってしまうという意味があります。
どちらも、ある事柄が世間に広まってしまうことを表していますが、「悪事千里を走る」は悪い行いに限定されるのに対し、「開いた口には戸は立たぬ」は噂や評判などを指し、悪事には限りません。
「悪事千里を走る」は英語で『bad news travels fast』
悪事千里を走るは英語の『bad news travels fast』に言い換えることができます。
英語の『bad news travels fast』には
- 悪いうわさはすぐ広まる
という意味があります。
「悪事千里を走る」の対義語・反対語は『好事門を出でず』
悪事千里を走るの対義語は、『好事門を出でず』になります。
好事門を出でずには
- よい行いは、なかなか世間に伝わらない
などの意味があり、世の中の世知辛さを言い表すときに用いられます。
一番の功労者が評価されないのを見ると、まさに好事門を出でずだと思わずにいられない。
「悪事千里を走る」と「好事門を出でず」は、同じ一文に綴られる対となる言葉で、よい行いは広まらず、悪い行いはすぐに広まるという、反対の意味で用いられます。