「推敲」という言葉には、「詩文の字句や文章を十分に吟味して練りなおすこと」という意味があります。
ビジネスシーンなどで文章を作成するときによく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「推敲」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「推敲」の意味は『詩文の字句や文章を十分に吟味して練りなおすこと』

推敲の読み方は「すいこう」です。
賈島(かとう)という詩人が詩をつくる際、「推す」か「敲く」か悩んでいたとき、著名な詩人であった韓愈(かんゆ)の助言を得て「敲」に決めた、という中国の故事が由来となっています。
『推敲』には
- 詩文の字句や文章を十分に吟味して練りなおすこと
などの意味があります。
「推敲」の正しい使い方を例文で紹介!

「推敲」は、ビジネスシーンなどで文章を作成するときに使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①

この作文はコンクールに出すので、提出期限ギリギリまで推敲します。
例文②

後輩が作成した報告書を読んだが、もう少し推敲する必要がある。
例文③

初めて論文を書いたので、推敲に時間をかけました。
例文④

上司にプレゼン資料を提出したが、まだ推敲の余地があると返されてしまった。
例文⑤

推敲を重ねることで、より読みやすい文章になります。
【推敲を使う時の注意点】
「推敲」は言葉回しや表現をより良くするという意味で使われるので、「推敲」を行うのは文章を書いた本人であるという点を留意しておきましょう。
「推敲」の類義語・言い換え4選

『推敲』の類義語や言い換えの言葉は4つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 校閲
- 添削
- 訂正
- 改訂
類義語①校閲の意味
文書や原稿などの誤りや不備な点を調べ、検討し、訂正したり校正したりすること。
引用:goo辞書

今回の作品は法律を扱うので、専門家に校閲を依頼しました。
類義語②添削の意味
他人の詩歌・文章・答案などを、書き加えたり削ったりして、改め直すこと。
引用:goo辞書

入試対策では、生徒が書いた小論文を添削します。
類義語③訂正の意味
誤りを正しく直すこと。特に言葉や文章・文字の誤りを正しくすること。
引用:goo辞書

パンフレットに誤字があったので、訂正シールを貼ります。
類義語④改訂の意味
- 書物の内容を改め正すこと。
- 法律や取り決めなどの一部を改めて正当な形に正すこと。改正。改定。
引用:goo辞書

近年の調査で新しく分かったことも多いので、教科書が改訂されることになった。

「推敲」と「校正」の違いは?

「推敲」と「校正」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「推敲」には詩文の字句や文章を十分に吟味して練りなおすことという意味がありますが、
それに対し「校正」には、文字・文章を比べ合わせ、誤りを正すことという意味があります。
どちらも文章を直すことを表す言葉ですが、「校正」は印刷物の誤字や脱字などの不備を、元の原稿と比べて正すときに使われるので、主に出版社などで用いられます。
そのため、「推敲」のようにビジネスシーンで使われることはあまりありません。
「推敲」は英語で『elaboration』

推敲は英語の『elaboration』に言い換えることができます。
英語の『elaboration』には
- 推敲(すいこう)
- 綿密な仕上げ
という意味があります。
「推敲」の対義語・反対語は『杜撰』

推敲の対義語は、『杜撰』になります。
杜撰には
- 詩や文章に、典拠の確かでないことを書くこと
- 物事がいいかげんで、誤りが多いこと
などの意味があり、文章を始め、物事がいい加減であることを表すときに用いられます。

部下が作成した議事録があまりに杜撰なので、書き直すよう指示した。
「推敲」は詩文の字句や文章を十分に吟味して練りなおすことという意味で使われ、「杜撰」は物事がいいかげんで、誤りが多いことという意味で使われます。
