「訥々」という言葉には、「口ごもりながら話すさま」という意味があります。
日常会話や本などでよく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「訥々」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「訥々」の意味は『口ごもりながら話すさま』

訥々の読み方は「とつとつ」です。
語源は「訥」は「言」と「内」の漢字構成で、言葉が内に入り込むことの意味から来ており、
- 「訥」は 口の重いこと・口軽にものが言えないこと・ことばの少ないこと
- 「々」は同じ漢字や仮名を重ねるときに用いる符号
の2つが合わさってできた言葉です。
『訥々』には
- 口ごもりながら話すさま
- どもるさま
などの意味があります。
「訥々」の正しい使い方を例文で紹介!

「訥々」は、スラスラと話すことができず、言葉につまりながら話す様子を表すときに使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①

事件の被害者は、思い出しながら訥々と語り始めました。
例文②

息子は初めてのPTAで緊張していたようだが、手をあげて訥々と説明をしていました。
例文③

友人は彼について言葉を選ぶように訥々と話し始めました。
例文④

訥々とした口調で、彼女は真剣に訴えていました。
例文⑤

普段から大人しい彼が訥々と語る姿に、みんなが心を打たれました。
【訥々を使う時の注意点】
「訥々」は口ごもりながら話す様子を意味し、話しぶりが流暢でなく途切れ途切れの調子で喋る様子を表すときに使われます。
また、言葉を発する動作と一緒に使われる言葉で、完全に言葉に詰まってしまった様子などには使うことができないので注意が必要です。
「訥々」の類義語・言い換え3選

『訥々』の類義語や言い換えの言葉は3つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 口下手
- 訥弁
- 口重
類義語①口下手の意味

息子は口下手で、周りの人に誤解されてしまうこともある。
類義語②訥弁の意味

普段は訥弁ですが、好きなチームの試合観戦中は雄弁になります。
類義語③口重の意味

彼女は口重な性格で、こちらが話しかけるまで黙っていることが多いです。

「訥々」と「口下手」の違いは?

「訥々」と「口下手」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「訥々」には口ごもりながら話すさまという意味がありますが、
それに対し「口下手」には、話すことが不得意で思うことをうまく人に言えないことという意味があります。
「訥々」は「口ごもりながら話す状態」を表すのに対し、「口下手」は「話し方が下手」という性質を指すという点が違いになります。
「訥々」は英語で『falteringly』

訥々は英語の『falteringly』に言い換えることができます。
英語の『falteringly』には
- よろめきながら・ためらって
- どもりながら・口ごもりながら
という意味があります。
「訥々」の対義語・反対語は『能弁』

訥々の対義語は、『能弁』になります。
能弁には
- 弁舌に巧みなこと
などの意味があり、弁舌に巧みなこと・話が上手いことを表すときに用いられます。

彼女は能弁な人なので、口で勝てるわけがない。
「訥々」は口ごもりながら話す様子を指し、「能弁」は弁舌に巧みなことを指しています。
