「漸く」という言葉には、「やっとのことで」という意味があります。
長い間望んでいたことが実現するときによく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「漸く」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
漸くの意味は『やっとのことで』
【漸くの意味】
1長い間待ち望んでいた事態が遂に実現するさま。やっとのことで。
2 苦労した結果、目標が達成できるさま。かろうじて。何とか。
3物事がしだいに進行して、ある状態になるさま。だんだん。
4 ゆっくりと。おもむろに。
引用:コトバンク
漸くの読み方は「ようやく」です。
語源は水を斬る様子を表したことと言われています。
『漸く』には
- やっとのことで
- かろうじて
- だんだん
などの意味があります。
「漸く」の正しい使い方を例文で紹介!
「漸く」は、使うシーンによって少しずつ意味が変わってきます。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①「やっとのことで」の意味で使う時
待ち望んでいた事柄が実現する時に使われます。
【例文①】
徹夜で書いたレポートが漸く完成した。
【例文②】
家事が終わって漸くソファに座れる。
例文②「かろうじて」の意味で使う時
目標をギリギリ達成できた時に使われます。
【例文①】
断られそうだったが、漸く契約できた。
【例文②】
何度も道を間違えたが漸く辿り着いた。
例文③「だんだん」の意味で使う時
順を追ってゆっくりと変化する時に使われます。
【例文①】
漸く春の訪れた。
【例文②】
梅の木に漸く蕾がつきはじめた。
【漸くを使う時の注意点】
「漸く」にはいくつか意味がありますが、それぞれが別の意味なのではなく、どの意味にもゆっくりと変化する様子がニュアンスとして含まれています。
「漸く」の類義語・言い換え4選
『漸く』の類義語や言い換えの言葉は4つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 遂に
- 挙句の果てに
- とどのつまり
- とうとう
類義語①遂にの意味
長い時間ののちに、最終的にある結果に達するさま。とうとう。しまいに。
引用:Weblio辞書
こどもの頃から好きなアイドルのコンサートに遂に行ける。
類義語②挙句の果てにの意味
買い物中に口論を始めたカップルが、挙句の果てには殴り合いの大喧嘩で警察沙汰になった。
類義語③とどのつまりの意味
いきつくところ。結局。
引用:goo辞書
1年以上かけて考えたプロジェクトが、とどのつまり白紙になった。
類義語④到頭の意味
物事が最終的にそうなるさま。ついに。結局。
引用:Weblio辞書
誰が真犯人なのか到頭分からなかった。
「漸く」と「暫く」の違いは?
「漸く」と「暫く」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「漸く」にはやっとという意味がありますが、
それに対し「暫く」には、少しの間という意味があります。
「漸く」は長い間待ち望んでいた事柄が実現したときに使う言葉ですが、「暫く」はすぐではないが一時的にという意味で使われます。
漢字が似ていますが意味が違うので間違えないようにしましょう。
「漸く」は英語で『finally』『gradually』『barely』
漸くは英語の『finally』『gradually』『barely』に言い換えることができます。
どの意味で用いるのかによって対応する英語が違ってきます。
finally
英語の『finally』には
- 最後に
- ついに
という意味があります。
barely
英語の『barely』には
- かろうじて
- やっと
という意味があります。
gradually
英語の『gradually』には
- 徐々に
- 次第に
という意味があります。
「漸く」の対義語・反対語は『早くも』『一気に』『余裕で』
『漸く』の対義語や反対語は3つあります。
対義語①やっとの意味では『早くも』
早くもには
- 物事の進行や実現が予想外に早いさま
- もう
などの意味があり、物事が思っていたよりも早く起きたときに用いられます。
大会の予選で早くもライバルと戦うことになった。
対義語②かろうじての意味では『余裕で』
余裕でには
- ゆったりと落ち着いていること
- 心にゆとりがあること
などの意味があり、気持ちにゆとりをもっているときに用いられます。
このゲームは余裕でクリアできた。
対義語③だんだんの意味では『一気に』
一気にには
- すぐに
- じきに
などの意味があり、休まずに物事を行うときに用いられます。
一気に冬が来た。
「漸く」の意味には3種類あり、どの意味で用いるのかによって対義語が変わるので注意しましょう。