「涵養」という言葉には、「水が自然に染み込むように、徐々に養い育てること」という意味があります。
教育関連や学校方針などでよく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「涵養」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「涵養」の意味は『水が自然に染み込むように、徐々に養い育てること』
涵養の読み方は「かんよう」です。
語源は中国の『陳書 沈炯伝』真愚稿という古い書物から来ており、
- 「涵」はひたす・ひたる・うるおう
- 「養」はやしなう・育てる・世話をする
の2つが合わさってできた言葉です。
『涵養』には
- 水が自然に染み込むように、無理をしないでゆっくりと養い育てること
などの意味があります。
「涵養」の正しい使い方を例文で紹介!
「涵養」は、水が自然にしみ込むように少しずつ教え養うことを表すときに使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
彼にはたくさんの自己啓発の本を読んで人間性やメンタルなどを涵養してほしい。
例文②
私の祖父は忍耐や節度などは小さい頃から涵養すべきだと言っていました。
例文③
子ども達には忍耐力を涵養する為にスポーツに触れてほしいと思っています。
例文④
彼女は昔から頂点に立つ為に、涵養に努めています。
例文⑤
我が校では、道徳の授業に力を入れており、徳性の涵養を図っています。
【涵養を使う時の注意点】
「涵養」は特定の能力や特性などをゆっくりと養い育てていくことを意味しています。
例文⑤の「徳性の涵養」とは、じっくりと道徳心を養うという意味で学校の方針などでよく使われる表現です。
「涵養」の類義語・言い換え5選
『涵養』の類義語や言い換えの言葉は5つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 醸成
- 教養
- 育成
- 培養
- 練成
類義語①醸成の意味
A組は、みんなが自主的に課題解決に取り組む雰囲気が醸成されているので安心しています。
類義語②教養の意味
- 教え育てること。
- 学問、知識などによって養われた品位。教育、勉学などによって蓄えられた能力、知識。
引用:コトバンク
彼は見た目と反して、教養がある話し方をするのでみんなを納得させることができる。
類義語③育成の意味
育て上げること。育ててりっぱにすること。
引用:weblio辞書
我が社は、新卒者を育成できる余裕がないのが現状です。
類義語④培養の意味
観察力を培養することで、もっと成果が上がると思っています。
類義語⑤練成の意味
息子が柔道の寝技練成会に申込しています。
「涵養」と「醸成」の違いは?
「涵養」と「醸成」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「涵養」には水が自然に染み込むように、徐々に養い育てることという意味がありますが、
それに対し「醸成」には、原料を発酵させて酒や醤油などをつくること・ある状態・気運などを徐々につくり出すことという意味があります。
「涵養」は自然としみ込むようにゆっくりと養成したり、養い作ることを表す際に使われます。
一方で「醸成」は「原料を発酵させること」または「考え方・雰囲気を徐々につくること」の二つの意味を指しています。
「醸成」は、ビジネスシーンにおいて雰囲気・やる気・信頼・連帯感・関係・世論などに対し、少しずつ状態や気運を醸し出していく時などに使われます。
「涵養」は英語で『foster』
涵養は英語の『foster』に言い換えることができます。
英語の『foster』には
- (実子のように)育てる・養育する
- 世話する・育成する・心にいだく
という意味があります。
「涵養」の対義語・反対語は『速成』
涵養の対義語は、『速成』になります。
速成には
- 物事を早く仕上げること
- 短期間に成し遂げること
などの意味があり、物事を早く仕上げることを表すときに用いられます。
社長は最近の業績に危機感を抱いており、営業マンを速成してほしいと言っていました。
「涵養」は水が自然に染み込むように、無理をしないでゆっくりと養い育てることを意味し、「速成」は物事を早く仕上げること・短期間に成し遂げることを意味しています。