「敷衍」という言葉には、「おし広げること」という意味があります。
日常生活ではあまり使われない言葉なので、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「敷衍」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「敷衍」の意味は『おし広げること』
敷衍の読み方は「ふえん」です。
明確な語源や由来はありませんが、「敷」と「衍」のそれぞれの意味は、
- 「敷」は、平らに広がること
- 「衍」は、水が四方向に広く広がること
この2つが合わさってできた言葉です。
『敷衍』には
- おし広げること
- 意味・趣旨をおし広げて説明すること
- 例などをあげて、くわしく説明すること
などの意味があります。
「敷衍」の正しい使い方を例文で紹介!
「敷衍」は、使うシーンによって少しずつ意味が変わってきます。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①押し広げることを表す時
ある物事を広い分野に展開することを意味する時に使われます。
【例文①】
彼女は、長年フードロス問題について敷衍しています。
【例文②】
彼は、SDGsについて大学生に敷衍しました。
例文②詳しく説明することを表す時
物事をわかりやすく説明することを意味する時に使われます。
【例文①】
この話は専門的で難しいので、研修会ではもっと敷衍すべきだ。
【例文②】
理系の話はさっぱり分からないので、敷衍して話して欲しい。
【敷衍を使う時の注意点】
「敷衍」には、大きく分けて2つの意味があります。
文脈に沿って理解する必要がありますので、気をつけましょう。
ビジネスシーンなどでよく使われるのは、「物事をわかりやすく説明する」という意味です。
「敷衍」の類義語・言い換え4選
『敷衍』の類義語や言い換えの言葉は4つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 拡大
- 拡張
- 展開
- 詳述
類義語①拡大の意味
広げて大きくすること。また、広がって大きくなること。郭大。
引用:goo辞書
この春から事業を拡大する予定です。
類義語②拡張の意味
範囲や勢力・規模などを広げて大きくすること。
引用:goo辞書
ご好評につき、拡張版を発売しました。
類義語③展開の意味
広くひろげること。また、広くひろがること。
引用:goo辞書
こちらは、10色のカラー展開があります。
類義語④詳述の意味
くわしく述べること。
引用:goo辞書
昨日の事件について詳述します。
「敷衍」と「演繹」の違いは?
「敷衍」と「演繹」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「敷衍」には意味・趣旨をおし広げて説明することという意味がありますが、
それに対し「演繹」には、一つの事柄から他の事柄へ押しひろめて述べることという意味があります。
どちらの言葉にも物事について押し広げて述べるという意味がありますが、一般的には「演繹」よりも「敷衍」がよく使われます。
「演繹」は、哲学分野で「帰納」の反対語として使われることが多い言葉です。
似ている言葉ですが、時と場合に応じて使い分けましょう。
「敷衍」は英語で『expatiate』
敷衍は英語の『expatiate』に言い換えることができます。
英語の『expatiate』には
- 詳細に説く
という意味があります。
「敷衍」の対義語・反対語は『停頓』
敷衍の対義語は、『停頓』になります。
停頓には
- 着手した物事がゆきづまってはかどらないこと
などの意味があり、物事がはかどらない様子を表す際に用いられます。
向こうの担当者から返事がなく、計画が停頓しています。
押し広げることという意味の「敷衍」に対して、着手した物事がゆきづまってはかどらないことという意味の「停頓」は、反対の意味の言葉として使うことができます。