「漁夫の利」という言葉は、「両者が争っているのにつけ込んで、第三者が利益を横取りすること」のたとえです。
第三者に利益を取られてしまったことを表す際によく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「漁夫の利」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
漁夫の利の意味は『両者が争っているのにつけ込んで、第三者が利益を横取りすることのたとえ』
漁夫の利の読み方は「ぎょふのり」です。
語源は、シギとハマグリが争っていることを利用し、漁夫がどちらもつかまえたという「戦国策」燕策の故事に由来しています。
『漁夫の利』には
- 両者が争っているのにつけ込んで、第三者が利益を横取りすることのたとえ
という意味があります。
「漁夫の利」の正しい使い方を例文で紹介!
「漁夫の利」は、第三者が利益を横取りすることを表す際に使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
私と兄でチョコをどちらが多く食べるか争っている間に、最後の一つを父が食べてしまって、まさに漁夫の利だ。
例文②
大谷と茂野がエース争いをしている間に、三橋が漁夫の利で背番号1をゲットした。
例文③
春子と夏美が彼を巡って揉めていることは、漁夫の利を狙っている私としては嬉しい。
【漁夫の利を使う時の注意点】
誰かが争っているうちに利益を得ることを「漁夫の利」と言うので、争いがない場合には当てはまりません。思いがけずにラッキーなことが起きた場合は「棚からぼたもち」を使うとよいでしょう。
「漁夫の利」の類義語・言い換えは「田父之功」
『漁夫の利』の類義語や言い換えの言葉は「田父之功」です。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 田父之功
類義語①田父之功の意味
争っているもの同士が両方とも倒れて、その争いとは関係ない人が利益を得ること。
「田父」は農夫のこと。
犬が兎を追いかけ続け、両方ともが疲労で死んでしまい、そこを通りかかった農夫が何の苦労もなく両方ともを手に入れたという話から。
古代中国の戦国時代、魏と戦っても秦や楚の国が喜ぶだけで意味はないと、淳于コンが斉の国の王を諭す時にしたたとえ話から。
引用:四字熟語辞典
どうにかA社とB社が争うように仕組み、田父の功を得ることはできないだろうか。
「漁夫の利」と「犬兎の争い」の違いは?
「漁夫の利」と「犬兎の争い」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「漁夫の利」には両者が争っているのにつけ込んで、第三者が利益を横取りすることという意味がありますが、
それに対し「犬兎の争い」には、両者が争って共に弱り、第三者に利益を横取りされることという意味があります。
「漁夫の利」は、両者が争っている間に利益を横取りすることですが、「犬兎の争い」では弱った隙を見て横取りするという意味合いがありますので、使いたい場面にあわせて言葉を選んでいくとよいでしょう。
「漁夫の利」は英語で『Two dogs fight for a bone, and the third runs away with it.』
漁夫の利は英語の『Two dogs fight for a bone, and the third runs away with it.』に言い換えることができます。
"Two dogs fight for a bone, and the third runs away with it."の意味
二匹の犬が一本の骨を取り合うと、第三の犬がそれを持ち逃げする
引用:Weblio英和辞書
英語の『Two dogs fight for a bone, and the third runs away with it.』には
- 二匹の犬が一本の骨を取り合うと、第三の犬がそれを持ち逃げする
という意味があります。
「漁夫の利」の対義語・反対語は『二兎追うものは一兎をも得ず』
漁夫の利の対義語は、『二兎追うものは一兎をも得ず』になります。
二兎追うものは一兎をも得ずには
- 同時に違った二つの事をしようとすれば、結局どちらも成功しないというたとえ
の意味があり、欲張って二つのことに手を出すと、どちらも失敗するという意味を表す際に用いられます。
秋子とも冬子ともいい感じの雰囲気だったが、二兎追うものは一兎をも得ずで、どちらとも付き合えなかった。
漁夫の利を狙うことは難しそうに思えますが、策略として使えたらかっこいいですね!