「布石」という言葉には、「将来のために配置しておく備え」という意味があります。
ビジネスシーンなどでよく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「布石」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「布石」の意味は『将来のために配置しておく備え』
布石の読み方は「ふせき」です。
「布石」はもともと囲碁の用語で、試合の序盤に配置する石のことを意味しています。
この布石をうまく置くことで、戦いを優位に進めることができることから、将来のために配置しておく備えという意味をもつようになりました。
「布」と「石」のそれぞれの意味は、
- 「布」は、平らに敷き広げる
- 「石」は、碁石
この2つが合わさってできた言葉です。
『布石』には
- 囲碁で、序盤戦での要所要所への石の配置
- 将来のために配置しておく備え
などの意味があります。
「布石」の正しい使い方を例文で紹介!
「布石」は、将来のために配置しておく備えを表す際に使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
A社から契約をとるためには、布石を打っておきたい。
例文②
彼は出世するため、着々と布石を打っている。
例文③
大学の推薦をもらうためには、高校入学時から布石を打っておかなければ。
例文④
ここでの活躍は、これからの大きな布石になるだろう。
例文⑤
この会食は、大きな案件をもらうための布石になる。
【布石を使う時の注意点】
「布石」は「ぬのいし」と読まれることもあります。
「ぬのいし」と読む時は、道などに沿って長く敷かれた敷石を意味し、「ふせき」と読む場合と意味が異なりますので気をつけましょう。
「布石」の類義語・言い換え4選
『布石』の類義語や言い換えの言葉は4つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 伏線
- 準備
- 対策
- 予防
類義語①伏線の意味
1 小説や戯曲などで、のちの展開に備えてそれに関連した事柄を前のほうでほのめかしておくこと。また、その事柄。
2 あとのことがうまくゆくように、前もってそれとなく用意しておくこと。また、そのもの。
引用:goo辞書
万が一失敗してしまった時のために、伏線を張っておこう。
類義語②準備の意味
物事をする前に、あらかじめ必要なものをそろえたり態勢を整えたりして用意をすること。
引用:goo辞書
明日のプレゼンのために準備をしておこう。
類義語③対策の意味
相手の態度や事件の状況に対応するための方法・手段。
引用:goo辞書
明日の試験に向けて対策しておこう。
類義語④予防の意味
悪い事態の起こらないように前もってふせぐこと。
引用:goo辞書
感染症にならないように、予防することが大切です。
「布石」と「伏線」の違いは?
「布石」と「伏線」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「布石」には将来のために配置しておく備えという意味がありますが、
それに対し「伏線」には、あとのことがうまくゆくように、前もってそれとなく用意しておくことという意味があります。
「伏線」は先々を見通して計画的に準備しておくことということを表す際に使われますが、「伏線」は、今後に備えてそれとなく準備しておくことや、今後の展開をほのめかすというニュアンスがあります。
また、「布石」は「布石を打つ」という表現が一般的で、「伏線」は「伏線を張る」「伏線を敷く」という使われ方をします。
混同しないように気をつけましょう。
「布石」は英語で『clue』
布石は英語の『clue』に言い換えることができます。
英語の『clue』には
- 手がかり
- 糸口
という意味があります。
「布石」の対義語・反対語は『後手』
布石の対義語は、『後手』になります。
後手には
- 他に先を越されること
- 相手に先に攻められて受け身の立場になること
- 災害や事故などへの対応が遅れること
などの意味があり、相手に先に攻められて受け身の立場になることを表す際に用いられます。
後手の対応にならないように気をつけないと。
将来のために配置しておく備えという意味の「布石」に対して、他に先を越されることという意味の「後手」は、反対の意味の言葉として使うことができます。