「謹啓」という言葉には、「つつしんで申し上げること」という意味があります。
手紙などの書き出しでよく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「謹啓」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「謹啓」の意味は『つつしんで申し上げること』
謹啓の読み方は「きんけい」です。
明確な語源や由来はありませんが、「謹」と「啓」のそれぞれの意味は、
- 「謹」はつつすむ
- 「啓」は申し上げる
この2つが合わさってできた言葉です。
『謹啓』には
- つつしんで申し上げること
- 手紙の最初に書くあいさつの語
などの意味があります。
「謹啓」の正しい使い方を例文で紹介!
「謹啓」は、つつしんで申し上げることを表す際に使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
謹啓 通り過ぎる風に春の暖かさを感じる季節となりました。
例文②
謹啓 早春の候、いかがお過ごしでしょうか。
例文③
謹啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
例文④
謹啓 初夏の候、ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。
例文⑤
謹啓 貴社におかれましては、ますますご清栄のことと存じます。
【謹啓を使う時の注意点】
「謹啓」は、メールや手紙などの書き出しの文書に使われる言葉で、その後に時候の文が続くのが一般的です。
また、「謹啓」は相手への敬意を表す丁寧な表現ですので、企業や取引相手などの改まった文書で使われます。
普段の親しい人へのメールや手紙などで用いると、かえって距離を感じさせてしまう場合があるので、使用の際には注意が必要です。
「謹啓」の類義語・言い換え3選
『謹啓』の類義語や言い換えの言葉は3つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 拝啓
- 前略
- 謹賀
類義語①拝啓の意味
《つつしんで申し上げます、の意》手紙の初めに書くあいさつの語。文末はふつう「敬具」で結ぶ。謹啓。
引用:goo辞書
拝啓 桜の開花も進み、暖かさが嬉しい頃となりました。
類義語②前略の意味
手紙文で、冒頭の時候のあいさつなどを省くという意で用いる語。冠省 (かんしょう) 。
引用:goo辞書
前略 先日お伝えしていた書類をお送りいたします。
類義語③謹賀の意味
つつしんで喜びを申し述べること。
引用:goo辞書
謹賀新年 今年もよろしくお願いいたします。
「謹啓」と「拝啓」の違いは?
「謹啓」と「拝啓」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「謹啓」にはつつしんで申し上げることという意味がありますが、
それに対し「拝啓」にも、つつしんで申し上げることという意味があります。
どちらも、手紙やメールなどの書き出しに使われる表現で、つつしんで申し上げることという意味があります。
「謹啓」は「拝啓」よりも敬意の度合いが高く、取引相手などの距離がある関係の人に向けて使います。
知り合いや友人などの近しい関係の相手には「拝啓」を用いるのが一般的です。
似ている言葉ですが、相手との間柄で使う言葉が変わりますので、気をつけましょう。
「謹啓」は英語で『Dear Sir』
謹啓は英語の『Dear Sir』に言い換えることができます。
英語の『Dear Sir』には
- 拝啓
という意味があります。
「謹啓」の対義語・反対語は『敬白』
謹啓の対義語は、『敬白』になります。
敬白には
- うやまい謹んで申し上げる
- 手紙や願文などの末尾に用いる語
などの意味があり、うやまい謹んで申し上げることを表す際に用いられます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 敬白
手紙などの出だしに用いる、つつしんで申し上げることという意味の「謹啓」に対して、手紙などの末尾に用いる、うやまい謹んで申し上げるという意味の「敬白」は、反対の意味の言葉として使うことができます。