「遡及」という言葉には、「過去にさかのぼって影響・効力を及ぼすこと」という意味があります。
ビジネスシーンや法律用語などでよく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「遡及」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「遡及」の意味は『過去にさかのぼって影響・効力を及ぼすこと』
そきゅうの読み方は「そきゅう」です。
語源は漢字の「遡」と「及」から来ており、
- 「遡」は流れにさからってのぼること
- 「及」はある範囲まで届くこと
の2つが合わさってできた言葉です。
『遡及』には
- 過去にさかのぼって影響・効力を及ぼすこと
などの意味があります。
「遡及」の正しい使い方を例文で紹介!
「遡及」は、ビジネスシーンや法律用語などで使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
昇給したタイミングがずれたので、遡及差額は来月分の給与に加算されます。
例文②
違約金は遡及的に計算するので、違反発生時まで遡る必要があります。
例文③
今回の事例が遡及適用できるかどうか、顧問弁護士に相談します。
例文④
電気代の徴収漏れがあったため、遡及して請求されることになった。
例文⑤
新法の適用は、4月1日に遡及して行われます。
【遡及を使う時の注意点】
同じ読みをする言葉がいくつかありますが、過去にさかのぼって影響・効力を及ぼすことという意味の言葉は「遡及」であると覚えておきましょう。
「遡及」の類義語・言い換え2選
『遡及』の類義語や言い換えの言葉は2つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 遡る
- 逆行
類義語①遡るの意味
- 流れに逆らって上流に進む。
- 物事の過去や根本にたちかえる。
引用:goo辞書
過去の資料を遡って、参考になるデータを探しました。
類義語②逆行の意味
- 進むべき方向と反対の方へ進むこと。順序や流れに逆らって進むこと。
- 地球から見て、惑星などが天球上を東から西へ動く視運動。外惑星では衝 (しょう) の前後、内惑星では内合 (ないごう) の前後に起こる。
- 地球の公転運動と反対の方向に公転する天体の軌道運動。ハレー彗星がその例
引用:goo辞書
リモートワークの廃止は、時代の流れに逆行した愚策だと思います。
「遡及」と「訴求」の違いは?
「遡及」と「訴求」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「遡及」には過去にさかのぼって影響・効力を及ぼすことという意味がありますが、
それに対し「訴求」には、広告や販売などで、消費者の購買意欲に働きかけることという意味があります。
どちらも同じ「そきゅう」と読む言葉ですが、意味は全く異なります。
文脈に合った正しい言葉を使えるよう、注意しましょう。
「遡及」は英語で『make a case for』
遡及は英語の『make a case for』に言い換えることができます。
英語の『make a case for』には
- 遡及
という意味があります。
「遡及」の対義語・反対語は『将来』
遡及の対義語は、『将来』になります。
将来の意味
- 《将 (まさ) に来 (きた) らんとする時の意》これから先。未来。前途。副詞的にも用いる。
- 引き連れてくること。特に、外国など他の土地から持ってくること。
- ある状態や結果を招くこと。招来。
引用:goo辞書
将来には
- これから先
- 引き連れてくること
- ある状態や結果を招くこと
などの意味があり、未来のことを語るときや、何かを招くことを表すときに用いられます。
将来的には独立して自分の店を持ちたいと考えている。
「遡及」は過去にさかのぼって影響・効力を及ぼすことを意味し、「将来」はこれから先・未来を意味する言葉です。