「習熟」という言葉には、「繰り返し行うことで慣れて上手になること」という意味があります。
専門家や職人の磨かれた技について現す時によく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「習熟」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
習熟の意味は『繰り返し行うことで慣れて上手になること』
習熟の読み方は「しゅうじゅく」です。
語源は「習」と「熟」という2つの漢字が組み合わさったものから来ており、
- 「習」は、学ぶ・慣れる。
- 「熟」は、よく煮込む・慣れる・十分な状態に達する
の2つが合わさってできた言葉です。
『習熟』には
- ある物事を繰り返し行うことで慣れて上手になること
- 慣れてよく覚えていること
などの意味があります。
「習熟」の正しい使い方を例文で紹介!
「習熟」は、訓練や実践で得られたスキルや能力について現す時に使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
くせのある入試問題だが、習熟すれば解けるようになるはずです。
例文②
語学の習熟には時間がかかるが、あなたにとって一生の財産になるでしょう。
例文③
彼女が美味しい料理を作れるのは、習熟度が高いからです。
【習熟を使う時の注意点】
「習熟」という言葉は、一般的に出来るという意味ではなく、より専門的な知識やスキルが身についている様子を現します。
例えば、伝統工芸の技術や音楽の演奏スキルがそれにあたるでしょう。
また、知識やスキルが身についているかどうかは、他者から見て卓越しているかで判断されます。
スキルを自己判断して、「私は○○について習熟した」という使い方はしません。
「習熟」の類義語・言い換え5選
『習熟』の類義語や言い換えの言葉は5つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 熟達
- 熟練
- 精通
- 体得
- 獲得
類義語①熟達の意味
[名](スル)熟練して上達すること。「機械操作に—する」
引用:goo辞書
彼は工芸に熟達しており、質の良い作品を次々に生み出しています。
類義語②熟練の意味
[名・形動](スル)物事に慣れて、手際よくじょうずにできること。また、そのさま。「—を要する仕事」「—した技能」
引用:goo辞書
近年、匠の技を持った熟練工が減っているのが問題になっています。
類義語③精通の意味
- ある物事について詳しく知っていること。物事によく通じていること。「日本史に—している」
- 男子の初めての射精。
引用:goo辞書
彼は芸能について精通している人物です。
類義語④体得の意味
[名](スル)体験を通して知ること。理解して自分のものにすること。「技を—する」
引用:goo辞書
彼女は長い練習の末、スケートボードでのバランスの取り方を体得しました。
類義語⑤獲得の意味
[名](スル)手に入れること。努力して自分のものにすること。「自由を—する」「政権—」
引用:goo辞書
いつも他人に誠実に向きあった彼は、皆から信頼を獲得することが出来ました。
「習熟」と「習得」の違いは?
「習熟」と「習得」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「習熟」には繰り返し行うことで慣れて上手になることという意味がありますが、
それに対し「習得」には、学問・技芸などを、習って覚えることという意味があります。
「習熟」と「習得」は、どちらも出来るようになる・覚えるという意味を持ちます。
しかし、学び得たスキルや知識の量に違いがあります。
「料理」の例で説明します。
「習得」は『一通り出来るようになる』というニュアンスなので、家事一般として出来るレベルであれば使用することが使える言葉です。
しかし「習熟」は、『繰り返し行うことで、他人から見ても高い知識やスキルを得ている』ことを現すので、スキルを磨き鍛え、職業としての料理人レベルで出来るという時に使います。
「習熟」は英語で『master』
習熟は英語の『master』に言い換えることができます。
masterの意味
- 〈…に〉熟達する,〈…を〉十分に習得する,マスターする.master a foreign language [driving a car] 外国語[車の運転]を習得する.
- 〈情欲などを〉抑制する.master one's anger 怒りを抑える.
- 〈困難などに〉 打ち勝つ,服従させる.
- 〈…の〉マスターテープ[レコード,ディスクなど]を作る.[ラテン語 magister ‘master,chief' から]
英語の『master』には
- 十分に習得する
- 打ち勝つ
という意味があります。
「習熟」の対義語・反対語は『未熟』
習熟の対義語は、『未熟』になります。
未熟の意味
- 果実・作物などがまだ十分に熟していないこと。また、そのさま。「—な梅の実」「実はまだ小さくて—だ」
- 学問や技術などの経験・修練がまだ十分でないこと。また、そのさま。「—な技」「処理のしかたが—だ」
引用:goo辞書
未熟には
- 果実や作物などがまだ十分に熟していないこと
- 学業や技術の経験がまだ浅く、十分な域に達していないこと
などの意味があり、経験が浅く、スキルが一定の域まで達していない時や、足りないことを現す時に用いられます。
結婚したばかりの2人は、夫婦としては未熟な点があります。
「習熟」が経験に基づいたスキルや知識が十分にあることを現すのに対し、「未熟」は逆の意味を持ちます。
これは「未熟」という言葉の「未」の字が持つ『まだその時が来ない・いまだにない』という意味からも
知ることが出来ます。