「二律背反」という言葉には、「自己矛盾に陥ること」という意味があります。
日常生活ではあまり使われない言葉なので、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「二律背反」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「二律背反」の意味は『自己矛盾に陥ること』
二律背反の読み方は「にりつはいはん」です。
語源は哲学用語である「Antinomie(アンチノミー)」の訳語です。
哲学者であるカントの「二つの事柄に対して、どちらかを否定してももう一方が正しいということにはならない」というアンチノミー論から成り立ったと言われています。
『二律背反』には
- 二つの相反する命題や推論が、同じだけの合理性・妥当性をもっていること
- 自己矛盾に陥ること
などの意味があります。
「二律背反」の正しい使い方を例文で紹介!
「二律背反」は、自己矛盾に陥ることを表す際に使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
価格は抑えたいが、クオリティもあげたい。二律背反だ。
例文②
二律背反の議論で、話し合いは長引いた。
例文③
丁寧に仕上げると時間がかかってしまい、二律背反の状況が辛い。
例文④
家で子供と過ごしたいけど、外に働きにも行きたい。二律背反だ。
例文⑤
節約したいがエアコンをつけないと暑すぎる。二律背反だ。
【二律背反を使う時の注意点】
もともとは哲学用語の「二律背反」ですが、最近ではビジネスシーンで使われることが多いです。
意味をしっかりと覚えて使う様にしましょう。
「二律背反」の類義語・言い換え4選
『二律背反』の類義語や言い換えの言葉は4つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- アンビバレント
- ジレンマ
- 板挟み
- 矛盾
類義語①アンビバレントの意味
相反する意見を持つさま。両面の。また、相反する感情が同時に存在するさま。
引用:goo辞書
自分の中のアンビバレントな感情に揺れ動く。
類義語②ジレンマの意味
二つの相反する事柄の板挟みになること。
引用:goo辞書
仲良くなりたいけど、近づくことが怖いというジレンマに苛まれている。
類義語③板挟みの意味
対立する二者の間に立ってどちらに付くこともできず、苦しむこと。
引用:goo辞書
母と嫁との板挟みになっている。
類義語④矛盾の意味
二つの物事がくいちがっていて、つじつまが合わないこと。自家撞着 (じかどうちゃく) 。
引用:goo辞書
彼の言っていることとやっていることが矛盾していて呆れる。
「二律背反」と「矛盾」の違いは?
「二律背反」と「矛盾」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「二律背反」には二つの相反する命題や推論が、同じだけの合理性・妥当性をもっていることという意味がありますが、
それに対し「矛盾」には、二つの物事がくいちがっていて、辻褄が合わないことという意味があります。
「二律背反」は、正反対の命題がどちらも正しいことを表しますが、「矛盾」は二つの物事の辻褄が合わないことを意味しています。
似ている言葉ですが、ニュアンスが異なりますので時と場合に応じて使い分けましょう。
「二律背反」は英語で『antinomy』
二律背反は英語の『antinomy』に言い換えることができます。
英語の『antinomy』には
- 二律背反
- 自己矛盾
という意味があります。
「二律背反」の対義語・反対語は『表裏一体』
二律背反の対義語は、『表裏一体』になります。
表裏一体には
- 二つのものの関係が、表と裏のように密接で切り離せないこと
などの意味があり、二つのものの関係が密接で切り離せないことを表す際に用いられます。
彼女は愛と憎しみは表裏一体だと言っていた。
二つの相反する命題や推論が、同じだけの合理性・妥当性をもっていることを表す「二律背反」に対して、二つのものの関係が密接で切り離せないことという意味の「表裏一体」は、反対の意味の言葉として使うことができます。