「頭が上がらない」という言葉には、「引け目を感じて対等に振る舞えない」という意味があります。
相手に何らかの恩義や借りがあるため、対等に振る舞えないときによく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「頭が上がらない」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
頭が上がらないの意味は『引け目を感じて対等に振る舞えない』
頭が上がらないの読み方は「あたまがあがらない」です。
相手への敬意や感謝を表すお辞儀の姿勢からできた言葉です。
『頭が上がらない』には
- 引け目を感じて対等な関係に立てない
- 何らかの恩義や借りがあるため対等に振る舞えない
- 病気が重くて枕から頭を起こせない
などの意味があります。
「頭が上がらない」の正しい使い方を例文で紹介!
「頭が上がらない」は、相手に何らかの恩義や借りがあるため、対等に振る舞えないときに使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
私がミスして翌朝までに修正作業をしないといけなくなったとき、一緒に残業して手伝ってくれた先輩には頭が上がらないわ。
例文②
社交的で頭の回転が速く営業成績が常にトップの彼には、上司でさえも頭が上がらないんじゃないかな。
例文③
彼女は入社当時から明らかに能力が周りから抜きんでていて、とても頭が上がらないわ。
例文④
息子が学校で荒れていた時も、見捨てずに明るく接してくれた先生には頭が上がらないわ。
例文⑤
働きながら家事も育児も完璧にこなしてくれる妻には頭が上がらないよ。
【頭が上がらないを使う時の注意点】
なんらかの原因で相手に引け目を感じ、対等に振る舞えない様子を表す言葉です。
自身の失敗や、相手への恩義や借り、相手の地位や実力が自分とは比べ物にならないほど上である場合も原因となり得ます。
多大な恩義から「あなたには頭が上がらない」と言ったとしても、相手によっては自分が権威をふりかざして引け目を感じさせているのだろうかと勘繰る可能性もあります。
恩義に対する感謝の気持ちを伝えたい場合は、別の言葉を使った方が良いでしょう。
「頭が上がらない」の類義語・言い換え4選
『頭が上がらない』の類義語や言い換えの言葉は4つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 恐縮する
- 恐れ入る
- 敷居が高い
- 畏敬の念を抱く
類義語①恐縮するの意味
恐縮するは「恐縮」がサ変自動詞化した形です。
【恐縮の意味】
恐縮(きょうしゅく)とは、ありがたく、また申し訳なく、あるいは気恥ずかしく思って、身のすくむような気持ちになることを意味する言葉。主に文章や改まった会話で用いる、やや硬い漢語である。
引用:weblio辞書
年末に彼の実家にご挨拶に行ったのだけど、あまりに手厚く歓迎されたものだから、逆に恐縮してしまったわ。
類義語②恐れ入るの意味
1 相手の好意などに対して、ありがたいと思う。恐縮する。
2 相手に失礼したり、迷惑をかけたりしたことに対して、申し訳なく思う。「恐れ入りますが」の形で、ものを頼んだり尋ねたりするときなどのあいさつの言葉としても用いる。恐縮する。
3 あまりのことに驚き入るばかりである。
㋐相手の才能・力量に太刀打ちできないと思う。脱帽する。
㋑物事のひどさにあきれる。
4 非常にこわがる。
引用:goo辞書
毎度これほどレベルの高い作品を作り出す君の腕前には恐れ入るよ。
類義語③敷居が高いの意味
敷居が高いとは、ある目標や状況に対して、参加や達成が難しいと感じられる状態を指す言葉である。敷居とは、部屋の入口にある横木で、床と扉を隔てる役割を果たす。敷居が物理的に高い場合、部屋への出入りが困難になることから、比喩的に目標や状況が容易でないことを表現するのに用いられるようになった。
引用:weblio辞書
家元が主催する茶会に参加するなんて、私みたいな初心者には敷居が高いわ。
類義語④畏敬の念を抱くの意味
【畏敬の念の意味】
畏敬の念(いけいのねん)とは、人や物事に対して深い敬意と畏怖の感情を抱くことを指す表現である。この感情は、その人や物事が持つ力や能力、成果などに対する尊敬や、その存在の偉大さや神聖さに対する恐怖から生じる。
引用:weblio辞書
ガウディの生み出した建築物の独特な美しさには畏敬の念を抱かざるをえないよ。
「頭が上がらない」と「頭が下がる」の違いは?
「頭が上がらない」と「頭が下がる」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「頭が上がらない」には引け目を感じて対等に振る舞えないという意味がありますが、
それに対し「頭が下がる」には、敬服する・感心させられるという意味があります。
「頭が上がらない」原因は相手に対する引け目があるためですが、「頭が下がる」の根本には相手に対する尊敬があります。
例えば、女手一つで三兄弟を立派に育ててくれた母を尊敬していることを表す際は、「頭が下がる」を使うのが正解で、「頭が上がらない」を使うのは間違いです。
似ている言葉ですが意味はまったく異なるので、正しく選択して使いましょう。
「頭が上がらない」は英語で『to be no match for』
頭が上がらないは英語の『to be no match for』に言い換えることができます。
英語の『to be no match for』には
- 頭が上がらない
- 足元にも及ばない
という意味があります。
「頭が上がらない」の対義語・反対語は『軽んずる』
頭が上がらないの対義語は、『軽んずる』になります。
軽んずるには
- 軽くみる
- 価値や意味があるものとしてみない
- 大切に思わない
などの意味があり、対象を価値があるものとしてみない際に用いられます。
顧客を軽んずる企業に未来はないと思うから、転職を決意したんだ。
「頭が上がらない」は相手に恩義などがあるため対等に振る舞えない、つまり自分を相手より低く感じてしまうことを意味します。
一方、軽んずるは相手を価値があるものとしてみなさず大切に思わないことを意味します。