「くるしゅうない」という言葉には、「差し支えない・気にしなくてよい」という意味があります。
時代劇などで、身分の高い人が低い人に対して声をかける時によく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「くるしゅうない」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
くるしゅうないの意味は『差し支えない』
語源は「苦しくない」の音が変化したものだと言われています。
『くるしゅうない』には
- 差し支えない
- 気にしなくてよい
- 迷惑ではない
などの意味があります。
「くるしゅうない」の正しい使い方を例文で紹介!
「くるしゅうない」は、時代劇などで身分の高い人が低い人に対して接する場面で使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
殿様は町人に「くるしゅうない、近うよれ」と言った。
例文②
友達に伺いを立てるメールを送ったら、「くるしゅうない」と返信が来た。
例文③
町人の振る舞いに耐えかねた家来たちが、刀を抜いた姿を見た殿様は「くるしゅうない」と言った。
【くるしゅうないを使う時の注意点】
「くるしゅうない」という言葉は、時代劇のセリフでよく使用される言葉です。
殿様など身分の高い人が、家臣などの身分の低いものに対して使用します。
江戸時代など身分の上下が厳しかった時代は、身分が下の者は上の者にむやみに近寄らないことで敬意を評しており、それに対して『近寄っても差し支えない、迷惑でない』という声がけで使用されました。
現代では親しい間柄での会話で、敢えて古風な表現を用いることで、冗談めかして使われる事があります。
「くるしゅうない」の類義語・言い換え2選
『くるしゅうない』の類義語や言い換えの言葉は2つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- ご苦労さま
- 大儀であった
類義語①ご苦労さまの意味
【ご苦労の意味】
- 他を敬って、その人の「苦労」をいう語。お骨折り。ごやっかい。「—をおかけします」
- 他人に仕事を依頼したときなどに、その苦労をねぎらっていう語。同輩以下の者に対して用いる。「遅くまで—だったね」
- 苦労の成果がなくむだにみえることを、あざけりの気持ちを含んでいう語。「この暑いのに—なことだ」
引用:weblio辞書
町内の草刈りをしていたら、ご近所の方から「暑い中ご苦労さま」と声をかけられた。
類義語②大儀であったの意味
【大儀の意味】
- 即位式・朝賀など、朝廷で行われる最も重要な儀式。大典。→中儀 →小儀
- 重大な事柄。大事なこと。「—の前の小儀」
- やっかいなこと。また、そのさま。おっくう。めんどう。「今から出かけるのは—だ」
- 疲れなどのため何もする気になれないこと。また、そのさま。「すわっているのも—そうに見える」
- 他人の労をねぎらうときに用いる語。ご苦労。「『—じゃ』と、利仁が声をかける」〈芥川・芋粥〉
- 費用のかかること。また、そのさま。
- 「縁付きの時分、さのみ—になきやうに、覚悟よろしき仕方なり」〈浮・胸算用・三〉
引用:weblio辞書
使いから帰った武士は、家老から「大儀であった」と労われた。
「くるしゅうない」と「よきにはからえ」の違いは?
「くるしゅうない」と「よきにはからえ」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「くるしゅうない」には差し支えない・迷惑ではないという意味がありますが、
それに対し「よきにはからえ」には良い方法で処理をお願いしたいという意味があります。
どちらも武士の時代に、身分が高い者から低い者に使われた言葉です。
「くるしゅうない」が、そそうをした相手を許す言葉であるのに対し、「よきにはからえ」は、相手に全面的にお任せする・お願いする、という意味があります。
現代でも「よきにはからってください」と使用することがありますが、これはその仕事を最善の方法で適切に処理してください、という意味になります。
ただし本来の使われ方を考えると、部下から上司、または取引先に対してかける言葉ではありません。
親しい間柄の友人に使用するのが無難です。
「くるしゅうない」は英語で『no problem』
くるしゅうないは英語の『no problem』に言い換えることができます。
英語の『no problem』には
- 大丈夫だ
- 構いません
という意味があります。
「くるしゅうない」の対義語・反対語はありません
くるしゅうないの対義語は、ありません。