海外人材を集める、新会社設立を読み解く 糸数剛一氏(リウボウホールディングス会長)

2018-05-16 12:01:00投稿 (記事提供:沖縄タイムス)

◆ニュースナビ+プラス(6)

 県内の経営者らが、外国人技能実習制度を活用して海外から人材を集める新会社を設立した。県人材育成事業協同組合と連携し、ビル清掃や食品製造を中心に2018年度は約100人を紹介する計画。県内企業の海外展開や現地での協業サポートも目指す。
 好景気が続き、県内でも人手不足が叫ばれて久しい。リウボウグループでもとにかく人が来なくて困っている。新店舗をオープンする際には、人の確保が最も大きな課題になっている。
 業種を問わず、深刻さを増しており、人件費の高騰で経営を圧迫されている企業もある。企業業績への影響だけでなく、従業員の残業増、営業時間やサービスの縮小などこのままいけば、さまざまな悪循環を生みかねない。
 シニアや専業主婦といった層の労働市場への参加を促せば解決できるとの意見もあるが、行政などの支援で参加につなげたとしても、感覚的には最大で半分くらいしか賄えないと思う。外国人に頼らなければ、人手不足を解消できない状況だ。
 日本国内では、人口減少による人手不足が指摘されている。働き手とされる15歳から64歳までの生産年齢人口は1997年から減少を始め、約20年で1千万人も減った。2040年までに、さらに1600万人前後減っていくとされている。
 お金を稼ぐ働き手の減少は、お金を使う消費者の減少につながる。しかも生産年齢人口の減少スピードは、総人口よりも速い。将来的に経済市場が一気に縮小する危機的な状況に陥ることになる。
 沖縄の総人口減少は2030年から始まるとされており、まだ時間がある。早く手を打って、外国人採用のノウハウを構築すれば、人口減少社会、高齢化社会でも成長できる力をつけられる。
 経済成長に伴い、アジア各国でも争奪戦が始まっており、日本の魅力は相対的に低下してきている。その中でも経済規模の小さな沖縄は、アジアの主要都市と比べて給与面でも見劣りする。
 ただ、アジアから最も近い日本としてポテンシャルは高い。日本のスキルを吸収したいアジア人は多い。日本料理は、アジア各国で出店が増えている。下働きではなく、包丁を持たせ、帰国した後に生かせる技術を身につけられるようにすれば、給与が安くても働き手は集まるだろう。料理以外にも接客サービス、工業技術などいろいろな分野で可能性がある。
 沖縄が、先駆けてそういう仕組みを作り、アジア各国と信頼関係を構築できれば、アジア全体の人材獲得競争に勝てるはずだ。アジアに似た気候風土や、リゾートの雰囲気もストレスを抱えず過ごすことができ、プラスに働くだろう。総合力で沖縄ブランドを作り上げられる。
 現在の人手不足は、決してうれしい悲鳴ではない。今の活況を持続させるためには、危機意識を強く持ち、県内企業、行政が一丸となって取り組む必要がある。