ユニバーサルツーリズムを読み解く 栩野浩氏(OTSサービス経営研究所社長)

2018-07-11 12:14:00投稿 (記事提供:沖縄タイムス)

 沖縄ツーリストは食物アレルギーに対応した旅行プラン「食物アレルギー対応“あんしん”フリープラン」の販売を始めた。沖縄へ旅行する家族連れなど個人旅行客を対象にしており、食物アレルギーに対応した食事を提供する。(6月27日付)

バリアのない観光地に

 沖縄ツーリストは食物アレルギー対応を組み込んだ個人型ツアーの販売を開始した。今回は、県におけるユニバーサルツーリズムの概況をお伝えしたい。
 実は沖縄県は、ユニバーサルツーリズムに熱心な観光地である。原点は、2007年2月14日に県知事名で公表した「沖縄観光バリアフリー宣言」。県のホームページにも掲載されている宣言は、「ご高齢の方や障がいのある方、妊娠されている方、小さなお子様を連れた方、外国の方など“誰もが楽しめる、やさしい観光地”の実現に向け、移動・情報・言葉・心のバリアなどすべてのバリアを取り除くことに取り組む」である。
 その後、さまざまな取り組みが重ねられ、昨年度、沖縄観光コンベンションビューローと事業者の委員会を通じ、沖縄の観光産業が特に取り組むユニバーサルツーリズム3領域が明示された。
 車いす・食物アレルギー・LGBT対応である。車いす対応は最もオーソドックスな取り組みである。沖縄にはNPO法人バリアフリーネットワーク会議など全国で名の通った関連団体があり、沖縄観光のバリアフリー化をけん引している。
 旅行における食物アレルギー対応では、沖縄は間違いなく日本のトップランナーである。07年に久米島町の地域振興として立ち上がり、12年以来沖縄全域に広がりつつある。小中高校生の5%、未就学児では10%が食物アレルギー疾患者である。沖縄には、毎年43万人の中高生が修学旅行で来県しており、アレルギー対応ノウハウは県内の観光事業者にとって重要である。
 日本全体の修学旅行生は年間約200万人。うち110万人が京都府、43万人が沖縄に来ている。つまり、京都と沖縄に来る生徒が、全国の修学旅行生の4分の3を占める。京都でも行政主導のアレルギー対応が進んでおり、京都と沖縄が協力すれば社会に大きな影響を与えることができそうだ。
 LGBTは近年注目を集めている領域で、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字である。LGBTの方々は旅行先で“心のバリア”に悩むことが多く、偏見を取り除き当たり前のようにお迎えできる観光地になろうという取り組み。ロサンゼルスのパレードは長い歴史と40万人の動員を誇る。国内では東京レインボープライドが7千人を集めている。沖縄でもピンクドット沖縄というイベントの定着を目指している。
 ユニバーサルツーリズムは沖縄の観光産業の武器になると期待され、これからの動きに注目していきたい。