県民大会:新基地着手から3年 不条理と押しつけの歴史凝縮

2017-08-12 09:43:00投稿 (記事提供:沖縄タイムス)

 沖縄県名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は2014年7月に事業着手し、翌月に海底のボーリング調査を開始した。今年4月25日から埋め立てに向けた護岸工事を進めている。約3年間、キャンプ・シュワブゲート前や辺野古沿岸の海上では建設に反対する住民らの激しい抗議活動が連日続いている。地元の理解を得られない政府は、それでも「辺野古ありき」の姿勢を崩さないために、予算執行や法解釈などにひずみが出ている。オスプレイの墜落が相次ぎ、地元の反発は強まる。12日の県民大会では、人権や地方自治が無視された戦後沖縄の不条理、基地押しつけの歴史が、この3年間に凝縮されていることを確認する場にもなりそうだ。(政経部・福元大輔、大野亨恭)
 

<莫大な警備費>新基地反対 力で抑える

 防衛省はV字形滑走路を持つ飛行場など辺野古新基地の具体的な計画を決めた際、「全部埋め立て」ではなく、「一部埋め立て」にこだわった。一般の立ち入りが規制されるキャンプ・シュワブの陸上部分を資機材置き場や作業船、警戒船の拠点として使用することで反対住民の抗議活動を避ける狙いがあった。
 さらに事業着手直前の14年7月には、シュワブの砂浜から50メートルだった臨時制限区域を最大2キロまで拡大。その区域を日米地位協定で日米共同使用とし、工事関係者の出入りを認めながら、一般の立ち入りは常時禁止した。船やカヌーで海上から抗議する住民らを遠ざける意図があり、米軍の運用などを定める地位協定を工事のために「流用した」といった指摘も出ている。
 当初から抗議活動を想定していたといえるが、実際に工事が始まると、沖縄タイムスの調べで、陸上、海上の民間警備費が2014年6月~16年12月の2年半で少なくとも159億円に上った。日数で割ると1日2千万円を超える期間もある。住民の根強い反対を受けることで、警備費がふくれあがっている。
 シュワブのゲート前や辺野古沿岸の海上では、連日大量の警察官や海上保安官が警備に当たり、抗議する市民を強制的に排除する事態が続いている。
 県警や海保は14年7月の事業着手まで、県内の基地反対運動に対し、犯罪がまさに行われようとするのを認めた時に警告、制止できると定めた警察官職務執行法5条や海上保安官法18条を根拠に挙げてきた。
 しかし、辺野古では「公共の安全と秩序を維持する」といった職務内容を定めた警察法2条、海上保安官法2条を根拠に示すようになった。政治的な表現活動を「安全」を理由に規制することに「政府と一体となった基地建設推進のための規制で、法の拡大解釈だ」と批判の声が上がる。
 

<許可なく岩礁破砕>国、過去の見解を一変

 沖縄防衛局は4月1日以降、海底の地形を変える際に必要な岩礁破砕許可を知事から得ないまま工事を進めている。正当性を主張する根拠としているのが、埋め立て海域の漁業権消滅だ。水産庁は、漁業権の一部放棄は漁業権の変更に当たり「知事の免許が必要」としてきた過去の見解を一変させ、防衛局の姿勢にお墨付きを与えている。
 これに対し県は「法解釈までねじ曲げている」と国の手法を批判。名護漁協は漁業権の一部を放棄しただけで、今回は「漁場の変更」に当たるとして、知事の許可が必要だと指摘。現状では漁業権は残り、岩礁破砕許可も必要だと訴える。
 また、漁業権は地方公共団体が責任を負って処理する自治事務である点も踏まえ「解釈権は県にある」と指摘。国は県漁業調整規則に違反しているとして7月、破砕行為を伴う工事の差し止め訴訟を提起し、仮処分を申し立てた。
 

<オスプレイの事故多発>県民の頭上 募る危険性

 日米両政府は辺野古新基地完成後、普天間飛行場のオスプレイを移転配備する方針だ。だが、オスプレイは開発段階から事故が相次ぎ、昨年12月には名護市安部の海岸、今月5日にはオーストラリア沖合で墜落して3人の死者が出るなど、事故が多発している。
 そのオスプレイ配備を、日本政府はひた隠しにしてきた。1987年、海兵隊機関誌が沖縄配備構想を報道。96年に公表された日米特別行動委員会(SACO)最終報告の草案にも、普天間のCH46ヘリの後継機として普天間代替施設に配備することが盛り込まれていた。
 しかし、オスプレイへの拒否反応は強く、日本政府の意向で、成案では削除された。政府はその後も「具体的に決まっていない」と繰り返して配備計画を隠し続けた。新基地建設に伴うアセスでもオスプレイを対象機種とせず、結局、政府が公表したのは12年だった。
 12年の配備後、緊急着陸や部品落下など普天間所属オスプレイのトラブルは10件に上る。政府は新基地建設により負担が軽減するとするが、オスプレイの危険性は県民の頭上につきまとう。
 

県民の諦めぬ意志示す 高良鉄美氏 県民大会共同代表インタビュー

 名護市辺野古の新基地建設中止を訴える12日の県民大会の意義などについて、共同代表の高良鉄美琉球大法科大学院教授に聞いた。(聞き手=政経部・福元大輔)
 -現場から遠い那覇市内で大会を開く意義に疑問の声もある。
 「沖縄側が反対の民意をはっきりと示しているのに、工事を強行する政府の姿勢はひど過ぎる。多くの県民が現状を確認すること、事業着手から3年たっても諦めていない、強い気持ちを県内外に示すことは大きな意義がある。毎年のように開催してもいいと思う」
 -何を訴えるのか。
 「一番大きいのは普天間飛行場返還と県内移設反対、オスプレイの配備撤回という2013年1月の建白書の要求だ。沖縄国際大学に大型ヘリが墜落してから13度目の『8・13』が近づく中、昨年12月は名護市沖で、今月5日にはオーストラリア沖でオスプレイが墜落するなど、いつでも、どこでも事故が起きる実態をさらけ出した。普天間を返還しても危険性が県内に残ることは明白だ」
 「国民の関心は薄いかもしれないが、全国に訓練を分散することで、危険性は広がる。事故原因が究明されないまま飛行再開するような米軍のやりたい放題をどう考えればいいのか。国民的な議論につながるようしっかりと訴えたい」
 -現場での抵抗が続いている。
 「座り込みの住民を機動隊員が当たり前のように排除するなど、人権や表現の自由よりも軍事施策が優先されている。戦後72年、沖縄への憲法適用から45年だが、人権が後回しにされる状況が変わっていない。そういった沖縄の歴史も県民大会であらためて確認する必要があるだろう」
 -嘉手納基地でも軍優先の事態が起きている。
 「例外的にしか認めないパラシュート降下訓練が相次ぎ、移転したはずの旧海軍駐機場を使用するなどし、沖縄の怒りは高まっている。基地の集中する沖縄では事件や事故、理不尽な出来事が多く、怒りが持続している。その怒りを国民に共有してもらうには言い続ける、行動し続けるしかない」

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機動隊の強制排除に抵抗する市民=名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前

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昨年12月に名護市安部の海岸に墜落し大破したオスプレイ

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辺野古差し止め仮処分申し立て