「心許ない」という言葉には、「頼りなく不安で心が落ち着かないさま」という意味があります。
日常会話やビジネスシーンでよく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「心許ない」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
心許ないの意味は『頼りなく不安で心が落ち着かないさま』
心許ないの読み方は「こころもとない」です。
語源は平安時代から使われていた古語の「心もとなし」から来ており、
『心許ない』には
- 頼りなく不安で、心が落ち着かないさま・気がかり
- 待ち遠しくていらいらするさま・じれったい
- はっきりしない・ぼんやりしている
などの意味があります。
「心許ない」の正しい使い方を例文で紹介!
「心許ない」は、使うシーンによって少しずつ意味が変わってきます。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①現在の状況に対して不安を表現する時
現在の状況に対して頼りなく不安で心が落ち着かない様子を表現する時に使われます。
【例文①】
今回のプロジェクトは、現状の人数では足りるか心許ないので、増員をお願いしたいです。
【例文②】
子ども達だけの移動は心許ないので、保護者の帯同が必要だと思います。
例文②遠まわしに誘いを断る時
何かを依頼されたり、誘われたりした時にやんわりと断りたい時に使われます。
【例文①】
就職のお誘いはうれしいのですが、私の能力では心許ないので今回は見送らせてください。
【例文②】
会食にお誘いいただき有難いのですが、今日は財布が心許ないのでまたの機会に誘ってください。
【心許ないを使う時の注意点】
「心許ない」は現状が不安や心配で落ち着かないときや遠回しに誘いを断るときに使われます。
例文①-①のようにビジネスシーンで使う際、自分の感情よりは客観的な視点から使うことも多い言葉です。
「心許ない」の類義語・言い換え5選
『心許ない』の類義語や言い換えの言葉は5つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 心細い
- 頼りない
- おぼつかない
- 危なっかしい
- 気がかり
類義語①心細いの意味
- 頼るものがなく不安である。
- 何となく寂しく感じられる。ものさびしい。
引用:goo辞書
一人で参加するのは心細いので、一緒についてきてほしい。
類義語②頼りないの意味
母だけだと頼りないので、私も一緒に行くことにしました。
類義語③おぼつかないの意味
隣にいた酔っ払いは、足元がおぼつかなくて危ない様子でした。
類義語④危なっかしいの意味
いかにも危ない感じがするさま。
引用:goo辞書
3歳になる娘の食事が危なっかしくて、ついつい手出しをしてしまいます。
類義語⑤気がかりの意味
気になって心配すること、または、心に引っかかるものや事柄。
引用:weblio辞書
検査結果がまだわからないので、気がかりでしょうがない状態です。
「心許ない」と「心細い」の違いは?
「心許ない」と「心細い」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「心許ない」には頼りなく不安で心が落ち着かないさまという意味がありますが、
それに対し「心細い」には、頼るものがなく不安であるという意味があります。
どちらもネガティブな感情を表す言葉ですが、「心細い」は主に自分の感情について使われるのに対し、「心許ない」は他人に対しても使われることが多い点が違いになります。
「心許ない」は英語で『precarious』
心許ないは英語の『precarious』に言い換えることができます。
英語の『precarious』には
- 事情次第の・不確かな・あてにならない・不安定な・危険な・危ない
- 根拠の不確かな・当てずっぽうの・危なっかしい
という意味があります。
「心許ない」の対義語・反対語は『心強い』
心許ないの対義語は、『心強い』になります。
心強いには
- 頼もしい様子
- 安心している様子
などの意味があり、頼りになるものがあって安心である様子を表すときに用いられます。
母の通院に妻が付き添ってくれるのは心強いです。
「心許ない」は不安や心配で落ち着かない様子を表すネガティブな表現に対し、「心強い」は頼もしく安心できる様子を表すポジティブな表現です。