「拙速」という言葉には、「できはよくないが、仕事が早いこと」という意味があります。
ビジネスシーンでよく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「拙速」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「拙速」の意味は『できはよくないが、仕事が早いこと』

拙速の読み方は「せっそく」です。
語源は、中国の兵法書『孫子』にある「拙速は巧遅に勝る」という格言で、下手でも速い方が上手だが遅いよりも優れているという意味です。
「拙」と「速」のそれぞれの意味は、
- 「拙」は、技術や手際が不十分であること
- 「速」は、動作や進行の速度が早いこと
この2つが合わさってできた言葉です。
『拙速』には
- できはよくないが、仕事が早いこと
などの意味があります。
「拙速」の正しい使い方を例文で紹介!

「拙速」は、できはよくないが、仕事が早いことを表す際に使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①

拙速ではあるが、とにかく試作品を作ってみよう。
例文②

拙速でもまず形にすることが大切。
例文③

拙速な決断は、チーム全体の混乱を招くことがある。
例文④

彼の拙速な行動が、せっかくのチャンスを台無しにした。
例文⑤

拙速な対応は、時にクレームにつながる。
【拙速を使う時の注意点】
「拙速」は、下手でも速く行動することを意味し、文脈によってポジティブにもネガティブにも解釈できる言葉です。
特に、他人に向かって使うときは「雑で急ぎすぎている」というニュアンスで受け取られる可能性があるため注意が必要です。
「拙速」の類義語・言い換え3選

『拙速』の類義語や言い換えの言葉は3つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 早急
- 急ごしらえ
- 性急
類義語①早急の意味
非常に急ぐこと。また、そのさま。至急。そうきゅう。
引用:Weblio辞書

早急な対応が、トラブルの拡大を防いだ。
類義語②急ごしらえの意味
非常に急ぐこと。また、そのさま。至急。そうきゅう。
引用:Weblio辞書

急ごしらえの資料では、説得力に欠ける。
類義語③性急の意味
物事の進みかたが急であること。また、そのさま。
引用:Weblio辞書

性急に結論を出そうとするのはよくない。

「拙速」と「巧遅」の違いは?

「拙速」と「巧遅」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「拙速」にはできはよくないが、仕事が早いことという意味がありますが、
それに対し「巧遅」には、上手だが、行動や進行が遅いことという意味があります。
「拙速」は、下手でも速く、スピードを優先させることを意味する言葉ですが、「巧遅」は、上手だけど遅いという、スピードよりも完成度を優先させることを意味する言葉です。
似ている言葉ですが、意味は反対ですので混同しないように覚えましょう。
「拙速」は英語で『hasty』

拙速は英語の『hasty』に言い換えることができます。
英語の『hasty』には
- 急いでなされた
- 急な
- あわただしい
という意味があります。
「拙速」の対義語・反対語は『巧遅』

拙速の対義語は、『巧遅』になります。
巧遅には
- 出来ばえはすぐれているが、仕上がりまでの時間がかかること
などの意味があり、出来ばえはすぐれているが、仕上がりまでの時間がかかることを表す際に用いられます。

彼の報告書は巧遅で確実なものだ。
できはよくないが、仕事が早いことという意味の「拙速」に対して、出来ばえはすぐれているが、仕上がりまでの時間がかかることという意味の「巧遅」は、反対の意味の言葉として使うことができます。
