「襟を正す」という言葉には、「衣服や姿勢を整える・気持ちを引き締める」という意味があります。
他者に指摘を受け態度を改める時など、気持ちを新たに物事に取り組む時によく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「襟を正す」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
襟を正すの意味は『態度を改めて、気持ちを引き締める』
襟を正すの読み方は「えりをただす」です。
語源は、古代の中国人である蘇軾(そしょく)が作った「前赤壁賦(ぜんせきへきのふ)」とも、中国の歴史書である「史記」ともいわれています。
どちらの書物でも「はっとして、服装を整えることで気持ちを引き締める」という意味で用いられています。
『襟を正す』には
- 乱れた衣服や姿勢を整える
- それまでの態度を改める
などの意味があります。
「襟を正す」の正しい使い方を例文で紹介!
「襟を正す」は、自分の物事に対する姿勢や態度を改める時に使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
試験の結果が思わしくなかったので、襟を正して勉学に励む。
例文②
新学期が始まったので襟を正して始業式に臨む。
例文③
自分の仕事ぶりについて、怠惰な姿勢を叱責され恥ずかしい思いをしたので、襟を正して取り組むことにした。
【襟を正すを使う時の注意点】
「襟を正す」は現在「態度を改めて気持ちを引き締める」という慣用句として用いられています。
単純に衣類の乱れを整える時は、「襟を正す」でも意味としては間違いではありませんが、「襟を直す」という事が多いです。
「襟を正す」の類義語・言い換え3選
『襟を正す』の類義語や言い換えの言葉は3つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 膝を正す
- 居住まいを正す
- 褌を締めてかかる
類義語①膝を正すの意味
きちんと座る。正座する。「―・して謝辞を述べる」
引用:goo辞書
先生が教室に入ってきたので、生徒は膝を正した。
類義語②居住まいを正すの意味
きちんとした姿勢に座りなおす。座り方を改める。
引用:goo辞書
来客を前に、父は居住まいを正した。
類義語③褌を締めてかかる(ふんどしをしめてかかる)の意味
決心を固くし、気持ちを引き締めて事に当たる。「ここぞという時には―・れ」
引用:goo辞書
仕事の大きな山場を前にした彼は、褌を締めてかかることにした。
「襟を正す」と「威儀を正す」の違いは?
「襟を正す」と「威儀を正す」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「襟を正す」には衣服や姿勢を整える・気持ちを引き締めるという意味がありますが、
それに対し「威儀を正す」には身なりを整え、おもおもしい態度をとるという意味があります。
2つの言葉の大きな違いは、『どこを正すか』ということです。
「襟を正す」も「威儀を正す」も身なりを整えるという意味があります。
しかし「襟を正す」は外見だけではなく、気持ちも正すという意味が含まれています。
「襟を正す」は英語で『shape up』
襟を正すは英語の『shape up』に言い換えることができます。
英語の『shape up』には
- 形をとる
- しっかりやる
という意味があります。
「襟を正す」の対義語・反対語はありません
襟を正すの対義語は、ありません。
対義語に近い言葉は「足蹴(あしげ)」「横柄(おうへい)」「無礼」です。
- 「足蹴」は『足で蹴ること・他人に酷いことをする』
- 「横柄」は『いばって、人を無視した態度を取ること』
- 「無礼」は『礼儀に反すること』
この3つはいずれも外見、内面について具体的には書かれていないものの、衣類を整える様子は表現出来ません。
また、気持ちが引き締まった様子もなく、不遜で相手を尊重しない態度が表現される言葉です。