「紡ぐ」という言葉には、「綿や繭 の繊維を引き出し、縒りをかけて糸にする」という意味があります。
言葉や歴史、物語などに「紡ぐ」を付けて比喩表現でよく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「紡ぐ」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
紡ぐの意味は『綿や繭の繊維を引き出し、縒りをかけて糸にする』
紡ぐの読み方は「つむぐ」です。
語源は「錘」(つむ)という糸を紡ぎながら巻き取る装置の名詞を、動詞化したものだとされています。
『紡ぐ』には
- 綿や繭 (まゆ) を錘 (つむ) にかけて繊維を引き出し、縒 (よ) りをかけて糸にする
- 言葉をつなげて文章を作る
などの意味があります。
「紡ぐ」の正しい使い方を例文で紹介!
「紡ぐ」は、使うシーンによって少しずつ意味が変わってきます。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①「言葉を紡ぐ」の使い方
言葉を紡ぐは、言葉一つ一つをつなげて文章を作るという意味で使われます。
例えば手紙やメッセージのような、長々しい物語でなければ「言葉を紡ぐ」という表現を使います。
【例文①】
丁寧に一つ一つ言葉を紡いで書かれた手紙は心にしみる。
【例文②】
言いにくいことを伝えるため、言葉を紡いで考えたがうまくまとめることができない。
例文②「想いを紡ぐ」の使い方
想いを紡ぐは、想いをつなげてより合わせていくという意味で使われます。
一人一人の想いをより合わせる場合に使われる言葉です。
【例文①】
被災した方々の復興への想いを紡いでいくことが大切です。
【例文②】
私の友人二人は、お互いの想いを紡いでいき結婚することになりました。
例文③「関係を紡ぐ」の使い方
関係を紡ぐは、関係をつないでより合わせていくという意味で使われます。
人と関係を築いていくことと表す時に使われる言葉です。
【例文①】
チームのためにも新監督と関係を紡いでいき、優勝できるよう頑張りたいです。
【例文②】
夫婦二人で関係を紡いでいき、仲良しなおじいちゃんおばあちゃんになりたいと思っています。
【紡ぐを使う時の注意点】
紡ぐには、「綿や繭から繊維を出して、それらの繊維をねじり合わせて1本の糸にすること」という意味と「言葉をつなげて文章を作る」という2つの意味があります。
また、例文のようにねじり合わせて1本の糸にすることの意味の比喩表現として、歴史・物語・心・人生なども「紡ぐ」をつなげて使われることがあります。
さまざまなものをより合わせ、1つのものを作り出すことを表す際に使われる言葉です。
「紡ぐ」の類義語・言い換え4選
『紡ぐ』の類義語や言い換えの言葉は4つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 繋ぐ
- 編む
- 結ぶ
- 織り出す
類義語①繋ぐの意味
読み方:つなぐ
- ひも・綱などで物を結びとめて、そこから離れたり、逃げたりしないようにする。
- 相手の気持ちなどが離れていかないようにする。
- 一定の所に留め置いて外へ出さないようにする。拘禁したり、拘束したりする。
- 結びつけてひと続きのものにする。
- 離れているもの、切れているものを続け合わせて一つにする。また、そのようにして通じるようにする。
- なんとか長く、切れないようにたもたせる。たえないようにする。
- 足跡などをたどって行方を追い求める。
引用:goo辞書
移住先では、人と人とを繋ぐコミュニティがあります。
類義語②編むの意味
- 糸・竹・籐 (とう) ・針金・髪などを互い違いに組み合わせて、一つの形に作り上げる。そのようにして、ある物を作り上げる。
- いろいろの文章を集めて書物を作る。編集する。
- 計画を組み立てる。編成する。
引用:goo辞書
彼にマフラーを編むために毛糸を選んでいます。
類義語③結ぶの意味
- ひもなど、細長いものを組んでつなぐ。また、結び目をつくる。
- 互いに関係をつくる。
- 二つの地点をつなぐ。連絡する。
引用:goo辞書
海外留学は、海外の学生と親交を結ぶことが目的の一つです。
類義語④織り出すの意味
- 織って作り出す。
- いくつかの事柄が集まって、ある状況や情景を作り出す。
- 織り始める。
引用:weblio辞書
色とりどりの糸が複雑な模様を織り出していて、とても綺麗です。
「紡ぐ」と「繋ぐ」の違いは?
「紡ぐ」と「繋ぐ」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「紡ぐ」には綿や繭 の繊維を引き出し、縒りをかけて糸にするという意味がありますが、
それに対し「繋ぐ」には、ひも・綱などで物を結びとめて、そこから離れたり、逃げたりしないようにするという意味があります。
「紡ぐ」は繊維を引き出し撚り合わせて糸にすること、「繋ぐ」は離れているものや似たような紐状のもの結び合わせて一つのものにすることを表す言葉です。
どちらも言葉に転じた意味があり、複数のものを一つにするという点は共通していますが、「紡ぐ」は一つにして別のものを作り「繋ぐ」は一つに結びつけて一続きの状態にするという違いがあります。
「紡ぐ」は英語で『spin』
紡ぐは英語の『spin』に言い換えることができます。
spinの意味
紡ぐ、紡いでする、かける、吐く、糸状に加工する、(長々と)話す、(急速にくるくる)回す、(水上・砂中などで)空転させる、スピンさせる、急回転させる
英語の『spin』には
- 紡ぐ・紡いでする・かける・吐く
- 糸状に加工する・話す・回す・空転させる・スピンさせる・急回転させる
という意味があります。
「紡ぐ」の対義語・反対語は『解く』
紡ぐの対義語は、『解く』になります。
解くの意味
読み方:とく・ほどく
- 結んだりしばったりしてあるものをゆるめて分け離す。ほどく。
- 縫い合わせてあるものの糸を抜き取って離す。また、編んであるものをほどく。
- もつれたものをもとに戻す。ほぐす。
引用:goo辞書
解くには
- 結んだりしばったりしてあるものをゆるめて分け離す
- 縫い合わせてあるものの糸を抜き取って離す
- もつれたものをもとに戻す・ほぐす
などの意味があり、より合わせたものを分解することを表現するときに用いられます。
こぶ結びになってしまったスニーカーの結び目を解くのに苦労した。
「紡ぐ」は複数のものを一つにすることという意味ですが、「解く」は、結んである紐状のものをゆるめ、分けて離すという意味があります。
「解く」にはもつれた状態を元に戻すという意味がもあり、それに転じて「筋道をたどり回答を導き出す」という意味でも使われる言葉です。