「野暮」という言葉には、「人情の機微に通じないこと」という意味があります。
「野暮なことを聞くな」などの使い方でよく耳にする言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「野暮」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「野暮」の意味は『人情の機微に通じないこと』
【野暮の意味】
[名・形動]《語源未詳。「野暮」は当て字》
1 人情の機微に通じないこと。わからず屋で融通のきかないこと。また、その人やさま。無粋 (ぶすい) 。「―を言わずに金を貸してやれ」「聞くだけ―だ」⇔粋 (いき) 。
2 言動や趣味などが、洗練されていないこと。無風流なこと。また、その人やさま。無骨。「―なかっこうをする」⇔粋 (いき) 。
3 遊里の事情に通じないこと。また、その人や、そのさま。
「―はいやなり。中ぐらゐなる客はあはず」〈浮・一代女・二〉
引用:goo辞書
野暮の読み方は「やぼ」です。
語源は江戸時代に遊郭などの事情に疎いということが、もともとの意味と言われています。
諸説あると言われていますが田舎者を意味する「野夫」が訛ったという説もあります。
また、「野暮」は当て字です。
『野暮』には
- 人情の機微に通じないこと
- 言動や趣味などが、洗練されていないこと
- 遊里の事情に通じないこと
などの意味があります。
「野暮」の正しい使い方を例文で紹介!
「野暮」は、人情の機微に通じないことなどを表す際に使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
「野暮用がある」と言って、旦那が出て行った。
例文②
いつもスーツでかっこいいのに、野暮な私服の彼に幻滅した。
例文③
岡本さんに結婚しているか聞くなんて、野暮だよ。
例文④
週末何をしているかなんて、野暮なことを聞かないで欲しい。
例文⑤
野暮ったいイメージだったけど、髪を切ったら見違えたね!
【野暮を使う時の注意点】
「野暮」とは、どちらかというとネガティブな印象をもつ言葉です。
下に見られているような、馬鹿にされているような受け取り方をされることもありますので、使う場面には気をつけるとよいでしょう。
「野暮」の類義語・言い換え3選
『野暮』の類義語や言い換えの言葉は3つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 無粋
- 無骨
- 粗野
類義語①無粋の意味
[名・形動]世態・人情、特に男女の間の微妙な情のやりとりに通じていないこと。また、そのさま。遊びのわからないさま、面白味のないさまなどにもいう。やぼ。「―なことを言う」「―な客」⇔粋。
引用:goo辞書
彼は無粋なことばかりするので、距離を置いている。
類義語②無骨の意味
洗練されていないこと。無作法なこと。また、そのさま。「―な振る舞い」
引用:goo辞書
私の祖父は、無骨な男として有名だ。
類義語③粗野の意味
[名・形動]言動が下品であらあらしくて、洗練されていないこと。また、そのさま。「―な振る舞い」「―な育ち」
引用:goo辞書
彼の粗野な言葉遣いが苦手です。
「野暮」と「無粋」の違いは?
「野暮」と「無粋」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「野暮」には人情の機微に通じないことという意味がありますが、
それに対し「無粋」には、世態・人情、特に男女の間の微妙な情のやりとりに通じていないことという意味があります。
また、「無粋」には遊びのわからないさま、面白味のないさまという意味もあります。
どちらも似たような意味合いですが、「無粋」は「粋が無い」という漢字で表されるためよりネガティブな雰囲気を感じ取ることができます。
「野暮」は英語で『uncouth』
野暮は英語の『uncouth』に言い換えることができます。
英語の『uncouth』には
- 無骨な
- やぼな
などという意味があります。
「野暮」の対義語・反対語は『粋』
野暮の対義語は、『粋』になります。
粋の意味
[名・形動]《「意気」から転じた語》
1 気質・態度・身なりなどがさっぱりとあかぬけしていて、しかも色気があること。また、そのさま。「―な姿」「―な柄」「―な店」⇔野暮 (やぼ) 。
2 人情の機微、特に男女関係についてよく理解していること。また、そのさま。「―な計らい」⇔野暮。
3 花柳界の事情に通じていること。また、花柳界。「―筋」⇔野暮。
引用:goo辞書
粋には
- 気質・態度・身なりなどがさっぱりとあかぬけしていて、しかも色気があること
- 人情の機微、特に男女関係についてよく理解していること
- 花柳界の事情に通じていること
などの意味があり、身なりが綺麗で色気があることや、人の心情をよく理解していることを表す際に用いられます。
粋な雰囲気の彼は、どこに行っても人気者だ。
「粋な計らい」という言葉がありますが、これは「気の利いた」ということを意味しています。
融通の効かないことを表す「野暮」と反対の意味合いですので、併せて覚えておくと良いですね。