「粗方」という言葉には、「大部分」という意味があります。
ほとんど全部という割合を示すときによく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「粗方」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「粗方」の意味は『大部分』
【粗方の意味】
【一】[名]
1 全部とまではいかなくても、ほぼそれに近い部分。大部分。
2 (副詞的に用いて)
㋐大部分。およそ。
㋑だいたいの数量をいうときに用いる。およそ。ざっと。あらあら。
【二】[形動ナリ]手の入れ方などが細かい所まで行き届いていないさま。粗雑である。
引用:weblio辞書
粗方の読み方は「あらかた」です。
- 「粗」はおおよその
- 「方」は方法・手段
の2つが合わさってできた言葉です。
『粗方』には
- ほぼ全部
- 大部分
- 粗雑である
などの意味があります。
「粗方」の正しい使い方を例文で紹介!
「粗方」は、ほとんど全部という割合を示すときに使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
うちの高校は粗方が進学希望で、就職希望の子はほとんどいないわ。
例文②
今週のタスクは粗方片付いたし、久しぶりに飲みに行かないか?
例文③
学生向けアンケートを実施したところ、粗方500人の回答を得られました。
例文④
君の報告書は粗方良くできているが、一部追加してほしい部分があるんだ。
例文⑤
あなたの掃除の仕方は粗方過ぎて、部屋が片付いているとはとても言えないわ。
【粗方を使う時の注意点】
「粗方」は「ほとんど全部」という意味です。
ビジネスシーンで正確な数値や情報が必要な際に使うのは不適当です。
例えば、「粗方10件の契約を獲得しました」や「売上は粗方1000万円でした」というような使い方はふさわしくありません。
凡その情報で良いのか、明確な数値が必要なのかを判断して使いましょう。
「粗方」の類義語・言い換え5選
『粗方』の類義語や言い換えの言葉は5つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 大方
- 大体
- 大抵
- ほとんど
- 凡そ
類義語①大方の意味
[名]
1 物事や事柄の大体。大部分。あらかた。
2 普通の物事。世間一般。世間一般の人。
[副]
1 だいたい。大部分。あらかた。
2 恐らく。たぶん。
3 (多く、話を切り出すときに用いて)大づかみに言えば。だいたい。およそ。そもそも。
引用:goo辞書
今日は顔色が悪いじゃない。大方昨日飲みすぎて二日酔いなんでしょ。
類義語②大体の意味
(1)おおよそ全て。ほとんど数量を占めていること、またそのさまを意味する表現。
(2)おおむね、あるいは考えていた度合いや値などに近いことを意味する表現。
引用:weblio辞書
大体あと2時間くらいあればレポートを終わらせられると思うわ。
類義語③大抵の意味
[名]
1 事柄の主要な部分。
2 事柄のあらまし。だいたいのようす。また、全体のうちの大部分。おおよそ。おおかた。
[形動]
1 (多くあとに打消しの語を伴って用いる)普通であるさま。
2 大部分に及ぶさま。
3 ちょうどよい程度であるさま。ほどほど。
[副]
1 ほとんどすべてに及ぶさま。たいがい。
2 かなり確かだと推測するさま。ほぼ間違いなく。十中八九。
3 (あとに打消しの語を伴って用いる)ひととおりに。ありきたりに。
4 ひととおりでなく。相当に。
引用:goo辞書
あそこは奥さんが市場で働いているから、夕方なら大抵電話は繋がりますよ。
類義語④ほとんどの意味
(1)全体のうちほんの一部しか欠いていないさまを意味する表現。
(2)あと少しで完成または終了するさまを意味する表現。
(3)ある物事を危うくしてしまいそうであるさまを意味する表現。
(4)全体のうちの大多数を指す表現。例えば「ほとんどの人が勘違いをしている」などという形で用いられる。
引用:weblo辞書
うちの店長ツーリングが大好きで、休日はほとんど家にいないらしいわ。
類義語⑤凡その意味
【一】[名・形動]
1 物事のだいたいのところ。大要。あらまし。
2 いいかげんなさま。ぞんざいなさま。
【二】[副]
1 大まかに言って。だいたい。約。
2 そもそも。総じて。一般に。話を切りだすときに用いる。
3 (否定的な表現を伴って用いる)全く。全然。
引用:weblio辞書
今回のプロジェクトにかかるであろう凡その費用を算出してみました。
「粗方」と「大方」の違いは?
「粗方」と「大方」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
どちらもほぼ全部・大部分という意味がありますが、その他の意味に違いがあります。
「粗方」は粗雑であるという意味があり、「粗方な扱いをしてはいけない」といった使い方をします。
「大方」は普通の物事・世間一般という意味があり、「昔は大方の女性は結婚願望を抱いていた」といった使い方をします。
「粗方」は英語で『mostly』
粗方は英語の『mostly』に言い換えることができます。
英語の『mostly』には
- 大部分は
- 大抵
という意味があります。
「粗方」の対義語・反対語は『一部分』
粗方の対義語は、『一部分』になります。
一部分には
- 全体の中のある部分
- わずかな部分
などの意味があり、全体の中のある部分を指すときに用いられます。
本の一部分を読んだだけで、その本が面白くないと判断するのは間違っているよ。
「粗方」はほとんど全部という意味がありますが、「一部分」は全体の中のある部分という意味があります。
「宿題が粗方済んだ」「宿題が一部分しか済んでいない」というように、全体に占める割合で使い分けます。