「中庸」という言葉には、「偏りがなく調和がとれていること」という意味があります。
日常会話やビジネスシーンでよく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「中庸」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「中庸」の意味は『偏りがなく調和がとれていること』

中庸の読み方は「ちゅうよう」です。
語源は中国の思想家である孔子の『論語』の一説「中庸の徳たるや、それ至れるかな」から来ており、
- 「中」はまんなか・あいだ・かたよらない
- 「庸」はかたよらない・ふつう・平凡・並み
の2つが合わさってできた言葉です。
『中庸』には
- かたよることなく、常に変わらないこと
- 過不足がなく調和がとれていること
などの意味があります。
「中庸」の正しい使い方を例文で紹介!

「中庸」は、偏りがなく調和がとれていることを表すときに使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①

両者の意見が対立してしまいましたが、部長が中庸を得た意見をもう一度考えるよう提案してくれたので話がまとまりました。
例文②

キャプテンは中庸な立場で行動しなければならないと思います。
例文③

彼女はいつでも中庸を遵守し、公平な判断を下すので信頼できます。
例文④

学校の先生は中庸の精神で物事を見ることが求められる職業だと思う。
例文⑤

両者の意見が分かれている際は、中庸を心がけることが大切です。
【中庸を使う時の注意点】
「中庸」は偏りがなく調和がとれていることを意味し、右よりでもなく左よりでもない中間であることを指す場合に使われます。
例文①のように、対立する2つの意見がある際に両方の意見をバランス良く取り入れるといったニュアンスで使われる言葉です。
「中庸」の類義語・言い換え4選

『中庸』の類義語や言い換えの言葉は4つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 中道
- 節制
- 適当
- 頃合
類義語①中道の意味
読み方:ちゅうどう
- 一方にかたよらない穏当な考え方・やり方。中正な道。
- 物事の進行のなかほど。達成する途中。
- 富士山の中腹をめぐる道。また、その道をめぐること。
- 仏語。二つの対立するものを離れていること。
引用:goo辞書

後輩に、何事にも中道的な立場を取ったほうがいいとアドバイスしました。
類義語②節制の意味

夫は最近、お酒を節制しているので家計に少し余裕ができました。
類義語③適当の意味
読み方:てきとう
- ある条件・目的・要求などに、うまくあてはまること。かなっていること。ふさわしいこと。また、そのさま。
- 程度などが、ほどよいこと。また、そのさま。
- やり方などが、いいかげんであること。また、そのさま。悪い意味で用いられる。
引用:goo辞書

適当に調味料を入れたのに、料理が美味しく出来上がりました。
類義語④頃合の意味

頃合を見計らって下に降りてきてほしいです。

「中庸」と「中道」の違いは?

「中庸」と「中道」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「中庸」には偏りがなく調和がとれていることという意味がありますが、
それに対し「中道」には、一方にかたよらない穏当な考え方・やり方という意味があります。
「中庸」は右でも左でもなく偏らないこと・バランスの取れた考え・程よいことなどを指しています。
一方で「中道」は「中庸」の考えを意とし、その時の情勢で最適な選択することを指している言葉です。
また、「中道」はいつも中間と言うことではないので注意が必要です。
「中庸」は英語で『golden mean』

中庸は英語の『golden mean』に言い換えることができます。
英語の『golden mean』には
- 中庸
- 中道
という意味があります。
「中庸」の対義語・反対語は『極端』

中庸の対義語は、『極端』になります。
極端には
- 普通の程度から大きく外れていること
- 一方にはなはだしくかたよっていること
- もののいちばんはし
などの意味があり、普通の程度から大きく外れていること・非常に偏っていることを表すときに用いられます。

妻と喧嘩になると、いつも0か100で極端なので疲れます。
「中庸」は偏りがなく調和がとれていることを指し、「極端」は普通の程度から大きく外れていること・非常に偏っていることを指しています。
つまり、偏っているか偏っていないかが違いになります。
