「なし崩し」という言葉には、「物事を少しずつ片付けていくこと」という意味があります。
物事の変化について言及する際によく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「なし崩し」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
なし崩しの意味は『物事を少しずつ片付けていくこと』
なし崩しの読み方は「なしくずし」です。
漢字で表記すると「済し崩し」と書きます。
この「済す」は返済という意味で、元々は借金を少しずつ返すことという意味で使われていました。
それが転じて、現在では物事を少しずつ片付けていくことという意味で使われるようになっています。
『なし崩し』には
- 物事を少しずつかたづけていくこと
- 物事を少しずつ変化させ、うやむやにしてしまうこと
- 借金を少しずつ返すこと
などの意味があります。
「なし崩し」の正しい使い方を例文で紹介
「なし崩し」は、使うシーンによって少しずつ意味が変わってきます。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①物事を少しずつかたづけていくことという意味で使う時
物事を少しずつかたづけていくことという意味での使い方です。
【例文①】
昨年の売り上げデータの整理をなし崩しで進めていこう。
【例文②】
目標の達成に向けてなし崩しに努力していく。
例文②物事を少しずつ変化させ、うやむやにしてしまうことという意味で使う時
物事を少しずつ変化させ、うやむやにしてしまうことという意味での使い方です。
【例文①】
正式な手順を踏まず、なし崩しに規約の変更が行われた。
【例文②】
人員変更が繰り返された結果、なし崩し的に新体制に移行していた。
例文③借金を少しずつ返すことという意味で使う時
借金を少しずつ返すことという意味での使い方です。
【例文①】
親に借りたお金は、なし崩し払いで返すことにしてもらった。
【例文②】
現代では、なし崩し払いという言葉はあまり使われなくなっている。
【なし崩しを使う時の注意点】
なし崩しという言葉は、「借金を少しずつ返すこと」「物事を少しずつ片付けていくこと」という本来の意味を正しく認識している人が少なくなっています。
正しい意味を理解するとともに、誤解が生まれそうな場面では違う表現を使うなど、使い方にも注意が必要です。
「なし崩し」の類義語・言い換え3選
『なし崩し』の類義語や言い換えの言葉は3つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 徐々に
- 漸進的(ぜんしんてき)に
- じわじわ(と)
類義語①徐々にの意味
少しずつ進行したり変化したりするさま。
引用:goo辞書
SNSマーケティングに力を入れるようにしたら、徐々に売り上げが伸びてきた。
類義語②漸進的(ぜんしんてき)の意味
- 順を追ってだんだんに進むこと。
- 少しずつ進歩すること。
引用:goo辞書
このお店の看板商品は、漸進的に改良されています。
類義語③じわじわ(と)の意味
- 物事がゆっくりと確実に進行するさま。
- 液体が少しずつしみ込むさま。また、にじみ出るさま。
引用:goo辞書
人員削減による負担がじわじわと広がっている。
「なし崩し」と「うやむや」の違いは?
「なし崩し」と「うやむや」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「なし崩し」には物事を少しずつ片付けていくことという意味がありますが、
それに対し「うやむや」には、物事がどうなのかはっきりしないことという意味があります。
「なし崩し」には物事を少しずつ変化させるという意味があり、その結果として物事があいまいになる、という場合も含むことがありますが、「うやむや」は物事が曖昧なさま、そのものを指します。
「なし崩し」は英語で『gradually』
なし崩しは英語の『gradually』に言い換えることができます。
英語の『gradually』には
- 徐々に
- 次第に
- 漸進的に
という意味があります。
「なし崩し」の対義語・反対語は『急速』
なし崩しの対義語は、『急速』になります。
急速には
- 物事の起こり方や進み方が非常に速いこと
などの意味があり、物事の進み方について言及するときに用いられます。
AIの導入によって、時代は急速に変化している。
「なし崩し」は物事が少しずつ変化することを意味しますが、「急速」は非常に速く進むことを意味しています。