「兼任」という言葉には、「二つ以上の職務を掛け持つこと」という意味があります。
本業以外に副業や兼業を掛け持つ際によく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「兼任」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「兼任」の意味は『二つ以上の職務を掛け持つこと』
兼任の読み方は「けんにん」です。
語源は漢字の「兼ねる」と「任せる」から来ており、
- 「兼」は二つ以上のものを合わせる
- 「任」は役目をつとめる、まかせる
の2つが合わさってできた言葉です。
『兼任』には
- 二つ以上の職務を持つこと
- 本職以外にも別の職務を掛け持つこと
などの意味があります。
「兼任」の正しい使い方を例文で紹介!
「兼任」は、使うシーンによって少しずつ意味が変わってきます。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①「兼任教員」
兼任教員は、非常勤として授業を担当する教員という意味で使われます。
他の職に従事していたり、他の大学に所属している教員に対して使われます。
【例文①】
あの兼任教員の本職は弁護士だそうだ。
【例文②】
この大学は兼任教員の割合が高い。
例文②「選手兼任監督」
選手兼任監督は、スポーツチームで監督業をこなす兼業選手という意味で使われます。
選手兼任監督は同じチームに所属している場合のみ使われます。
【例文①】
日本のプロ野球界には選手兼任監督が多くいます。
【例文②】
Jリーグでは選手兼任監督が認められていない。
例文③「役員兼任」
役員兼任は、会社の役員が他の会社の役員も務めている時に使われます。
子会社の設立時などに役員を兼任する場合があります。
【例文①】
役員兼任を禁止する規定はありません。
【例文②】
系列3社で役員兼任しています。
【兼任を使う時の注意点】
兼任とは、2つの違う職務を同時に行う際に使われます。
「兼任」の類義語・言い換え4選
『兼任』の類義語や言い換えの言葉は4つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 兼職
- 兼業
- 掛け持ち
- 二足の草鞋
類義語①兼職の意味
[名](スル)本職以外に他の職務を兼ねること。また、その職務。
引用:goo辞書
禁止されていた兼職が発覚して解雇されたらしいよ。
類義語②兼業の意味
[名](スル)本業のほかに他の事業・仕事を兼ね行うこと。また、その事業・仕事。「会社勤めと塾の教師を—する」
引用:weblio辞書
我が家は曽祖父の代から兼業農家です。
類義語③掛け持ちの意味
一人で二つ以上の仕事や役目を担当すること。
引用:国語辞典online
アルバイトの掛け持ちで毎日疲れる。
類義語④二足の草鞋の意味
(二足の草鞋は同時にははけないところから) 同一人が両立しにくいような二種の職業や役務を兼ねること。特に、ばくち打ちが捕吏を兼ねること。
引用:コトバンク
副業の収入が本業を上回ったら二足の草鞋を履く生活とはおさらばだ。
「兼任」と「兼務」の違いは?
「兼任」と「兼務」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「兼任」には二つ以上の職務を掛け持つことという意味がありますが、
それに対し「兼務」には、本務のほかに他の職務を兼ねることという意味があります。
どちらも同じような意味を持つので混同されがちですが、
兼任の「任」は任された役目という意味を持つので、職務の肩書や役割に重点を置く際に使い、
兼務の「務」は務めなので、職務の内容に重点を置く際に使うという違いがあります。
「兼任」は英語で『Concurrently』
兼任は英語の『Concurrently』に言い換えることができます。
英語の『Concurrently』には
- 同時期に
- 併用する
という意味があります。
「兼任」の対義語・反対語は『専任』
兼任の対義語は、『専任』になります。
専任には
- 掛け持ちせずその仕事だけを行う
- 一つの仕事だけを受け持つ
などの意味があり、一つの職務のみに従事する際に用いられます。
専任は、専門的な知識や技術を必要とする職務に対して使用されることが多いです。