「無機質」という言葉には、「無機物をつくる元素、またはそれらによってつくられる物質」という意味があります。
化学や生物の分野や、デザインや人物を表す例えとしてよく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「無機質」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
無機質の意味は『無機物をつくる元素』
無機質の読み方は「むきしつ」です。
語源は「無機(むき)」という言葉に、「質(しつ)」という言葉の組み合わせでできています。
「無機」は「無機化合物」の略で、炭素を含まない化合物、および簡単な炭素化合物の酸化物・シアン化物・炭酸塩などの総称です。
具体的には、金属や鉱物などを構成する元素を指します。
そこに「ものを成り立たせている中身」という意味の「質」が組み合わさることで、「無機質」は無機物をつくる元素や、それらによってつくられる物質という意味になります。
また、これらの意味から例えとして「生命やぬくもりを感じないさま」を表す言葉として用いられることもあります。
『無機質』には
- 無機物をつくる元素
- またはそれらによってつくられる物質
などの意味があります。
「無機質」の正しい使い方を例文で紹介!
「無機質」は、化学や生物の分野や、デザインや人物を表す例えとして使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①化学的な意味で「無機質」を使う時
主に化学や生物の分野で使われます。
【例文①】
金属や鉱石などは無機質で構成されている。
【例文②】
無機質は炭素を含まない物質です。
例文②例えとして「無機質」を使う時
デザインや人物を表す例えに使われます。
【例文①】
この部屋のコンクリートむき出しのデザインが、無機質な雰囲気で気に入っています。
【例文②】
受付係の人の無機質な話し方は、まるでAIを相手にしているようでした。
【無機質を使う時の注意点】
日常会話では「無機質」をデザインや人物を表現する例えとして使うことが大半ですが、言葉自体は化学的な意味しか持たないため、使う文脈には注意が必要です。
「無機質」の類義語・言い換え3選
『無機質』の類義語や言い換えの言葉は3つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 殺風景
- 機械的
- 無味乾燥
類義語①殺風景の意味
- 眺めに情趣が欠けていたり単調だったりして、見る者を楽しませないこと。また、そのさま。
- おもしろみも飾りけもなく、興ざめがすること。また、そのさま。無風流。
引用:goo辞書
引っ越してきたばかりの時は家具もなく、殺風景な部屋で過ごしていました。
類義語②機械的の意味
- 機械を使って仕事をするさま。
- 機械に関する方面。
- 機械が動くように、意思をもたずに決まった動作を行うさま。
- 個々の状況を考慮せず、一律に物事を処理するさま。
- 力学的な性質をもつさま。
引用:goo辞書
役所に問い合わせしてみましたが、機械的な対応をされるだけで問題は解決できませんでした。
類義語③無味乾燥の意味
おもしろみも風情もないこと。また、そのさま。
引用:goo辞書
毎日、職場と家の往復をするだけの無味乾燥な日々を送っている。
「無機質」と「無機物」の違いは?
「無機質」と「無機物」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「無機質」には無機物をつくる元素、またはそれらによってつくられる物質という意味がありますが、
それに対し「無機物」には、水・空気・鉱物および無機化合物からなる物質という意味があります。
「無機質」と「無機物」はほぼ同じ意味で使われますが、「無機質」は「無機物」をつくっている最も基本となる成分で、それ以上分割できない要素のことを指します。
また、「無機質」は例えとして「生命やぬくもりが感じられないさま」という意味でも使われますが、「無機物」はそのような使われ方をすることはありません。
「無機質」は英語で『anorganic substance』
無機質は英語の『anorganic substance』に言い換えることができます。
英語の『anorganic substance』には
- 無機物質
- 無機質
という意味があります。
「無機質」の対義語・反対語は『有機(質)』
無機質の対義語は、『有機(質)』になります。
有機(質)には
- 生命力を有すること・生活機能を有すること
- 有機物の性質をもつこと
- 「有機化合物」「有機化学」などの略
などの意味があり、主に化学や生物の分野で用いられます。
植物は二酸化炭素を使って光合成することで、有機物を生み出します。
「無機質」は炭素を含まず、生活機能を持たない無機物をつくる元素や、それらによってつくられる物質を意味し、「有機(質)」は炭素を含み、生活機能を持つ物質という意味があります。