「年季が入る」という言葉には、「物が長く使い込まれていること、長年の修行で腕が熟練していること」という意味があります。
腕の立つ職人や長く使われているものなどに対してよく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「年季が入る」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
年季が入るの意味は『物が長く使い込まれていること、長年の修行で腕が熟練していること』
年季が入るの読み方は「ねんきがはいる」です。
語源は、年季奉公という四字熟語が由来であると言われています。
中世の日本では奉公人を売買して雇う人身永代売買が行われていましたが、江戸時代に入ると永代売買が禁止になり、その代わりに期限付きで奉公人を雇い入れる年季奉公が一般的になりました。
金銭の前借りをして返済までの期間住み込みで奉公する年季奉公や、職業習得のために期間を定めて奉公する徒弟奉公などがありました。
奉公の期間はそれぞれですが、長期間その職業に従事することで確かな腕を持つことから「年季が入る」と言われるようになりました。
『年季が入る』には
- 熟練した技術
- 長く使い続けられている
などの意味があります。
「年季が入る」の正しい使い方を例文で紹介!
「年季が入る」は、長く使い込まれたものや長年修行した熟練の技を持つ人物に対して使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
祖母の裁縫道具は年季が入っている。
例文②
父の愛用する万年筆は年季が入っているが、まだまだ現役だ。
例文③
年季の入った職人技は、素人には真似できない。
例文④
年季の入ったアパートで質素に暮らしている。
例文⑤
耐震構造の問題で、年季の入った木造建築の建物が少なくなってきた。
【年季が入るを使う時の注意点】
年季が入るという言葉は使い方によって褒め言葉になりますが、ものや建物に使う際は古い、使い古しなどの貶し言葉にもなり得るので注意が必要です。
「年季が入る」の類義語・言い換え5選
『年季が入る』の類義語や言い換えの言葉は5つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 熟練
- 円熟
- 老練
- 経験豊富
- 老朽化
類義語①熟練の意味
[名・形動](スル)物事に慣れて、手際よくじょうずにできること。また、そのさま。「―を要する仕事」「―した技能」
引用:goo辞書
熟練の技を持つ大工さんに依頼しました。
類義語②円熟の意味
[名](スル)人格・知識・技術などが円満に発達し、豊かな内容をもっていること。「円熟の域に達する」「円熟した人間味」
引用:コトバンク
あの俳優は年齢を重ねて円熟味が増した。
類義語③老練の意味
[名・形動]多く経験を積んで、物事に慣れ、巧みであること。また、そのさま。老巧。「—な(の)かけひき」「—な(の)船乗り」
引用:weblio辞書
あの老練な弁護士が担当らしい。
類義語④経験豊富の意味
豊かな経験を経ていること。様々な経験をしており、あらゆる事態に対応できるさま。
引用:weblio辞書
経験豊富なスタッフが丁寧にカウンセリングを行います。
類義語⑤老朽化の意味
[名](スル)古くなり、役に立たなくなること。「―した建物」
引用:goo辞書
雨漏りの原因は老朽化した屋根にあります。
「年季」と「年期」の違いは?
「年季」と「年期」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「年季」には雇い主と奉公人との間で決まった契約期間という意味がありますが、
それに対し「年期」には、1年を単位として定めた期間という意味があります。
どちらも読みは同じなので混同しがちですが、この二つの言葉の意味は大きく違います。
「年季」とは、年季奉公の略で雇い主と奉公人との間で決まった契約期間という意味を持ち、現代では「年季が入る」など長い年月のことを指します。
「年期」とは一年を単位とした期間のことを言い、一年単位の契約を意味する言葉として使われています。
すなわち「年季」は「長期間」、「年期」は「1年単位」の違いで使い分けます。
「年期が入る」という使い方は誤りなので注意が必要です。
「年季が入る」は英語で『seasoned』『well used』
年季が入るは人物に対しては『seasoned』、ものに対しては『well used』に言い換えることができます。
seasoned
英語の『seasoned』には
- 年季が入る
- 調味した
- 老功
という意味があります。
well-used
『well-used』には
- 手垢がついた
- 使い込まれた
という意味があります。
「年季が入る」の対義語・反対語は『未熟』
年季が入るの対義語は、『未熟』になります。
未熟の意味
[名・形動]
1 果実・作物などがまだ十分に熟していないこと。また、そのさま。「—な梅の実」「実はまだ小さくて—だ」
2 学問や技術などの経験・修練がまだ十分でないこと。また、そのさま。「—な技」「処理のしかたが—だ」
引用:weblio辞書
未熟には
- 果物や作物がまだ実らないこと
- 一人前でないこと
- 十分に発達していないこと
などの意味があり、農作物が熟していないときや経験が浅いときに用いられます。
未熟者ではございますが、精一杯頑張ります。
年季が入るとは、長年の経験で熟練の腕を持つ人物や長く使い込まれているものなどに使われますが、未熟とは農作物が十分に熟していないことや経験が浅い人物に対して使われます。