「引導を渡す」という言葉には、「諦めるように最終的な宣告をする」という意味があります。
政治や経済などのトピックでよく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「引導を渡す」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
引導を渡すの意味は『諦めるように最終的な宣告をする』
引導を渡すの読み方は「いんどうをわたす」です。
仏教語の「引導」が語源となっており、「葬儀の際に導師が棺の前に立ち、死者が悟りを得るように法語を唱えること」という意味から転じて、諦めるように最終的な宣告をする、という現在の使われ方をするようになりました。
『引導を渡す』には
- 僧が死者に引導を授ける
- 相手の命がなくなることをわからせる
- あきらめるように最終的な宣告をする
などの意味があります。
「引導を渡す」の正しい使い方を例文で紹介!
「引導を渡す」は、政治経済のトピックや業界内の情勢について話すときに使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
業績が低迷していることを理由に、取締役たちは社長に引導を渡したようです。
例文②
熱心に取り組んではいるが、数字が出ていないので、彼には引導を渡すことになりそうだ。
例文③
天才ルーキーの台頭で、ベテラン選手に引導を渡す結果となった。
例文④
祖父の葬儀では、お世話になっている住職に引導を渡してもらった。
【引導を渡すを使う時の注意点】
現在は「諦めるように最終的な宣告をする」という意味で使われることが多いですが、仏教語としても使われるので、文脈によって意味が変わることに注意が必要です。
「引導を渡す」の類義語・言い換え3選
『引導を渡す』の類義語や言い換えの言葉は3つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 観念(させる)
- 申し渡す
- お払い箱(にする)
類義語①観念(させる)の意味
- 物事に対してもつ考え。
- あきらめて、状況を受け入れること。覚悟すること。
- 哲学で、人間が意識の対象についてもつ、主観的な像。表象。心理学的には、具体的なものがなくても、それについて心に残る印象。
- 仏語。真理や仏・浄土などに心を集中して観察し、思念すること。観想。
引用:goo辞書
口論の結果、母はこれ以上争っても勝ち目はないと父を観念させた。
類義語②申し渡すの意味
命令・決定として下位の者に告げる。言い渡す。
引用:goo辞書
度重なる不祥事によって、人事は彼に解雇を申し渡した。
類義語③お払い箱(にする)の意味
- 勤めを辞めさせられること。
- 不用品を捨てること。廃棄。
引用:goo辞書
業績が悪化すると、会社は真っ先に派遣社員をお払い箱にした。
「引導を渡す」と「印籠を渡す」の違いは?
「引導を渡す」と「印籠を渡す」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「引導を渡す」には諦めるように最終的な宣告をするという意味がありますが、
それに対し「印籠を渡す」という言葉は存在しません。
「いんどう」と「いんろう」が似た音であることから、勘違いをして間違った言葉が使われています。
「印籠」とは腰に下げる小箱のことで、時代劇などではよく見ますが、現代では使われることはほぼありません。
間違った言葉を使ってしまわないよう、注意しましょう。
「引導を渡す」は英語で『say a requiem』
引導を渡すは英語の『say a requiem』に言い換えることができます。
英語の『say a requiem』には
- 引導を渡す
という意味があります。
「引導を渡す」の対義語・反対語は『慰留する』
引導を渡すの対義語は、『慰留する』になります。
慰留するには
- 退こうとする人をなだめて、思いとどまらせること
などの意味があり、辞任などを引き留める場面などで用いられます。
現場を退くと言う社長を、社員一同で慰留した。
「慰留する」は「引導を渡す」の正反対の言葉ではありませんが、諦めるよう宣告するという意味とは反対の、思いとどまらせるという意味で使うことができます。