『マスト』は英語の『must』から来た言葉で、『〜しなければならない』という意味があります。
しかし、ビジネスシーンで使う『must』には様々な意味が含まれていますので、初めて聞いた時は難しいと感じたり、日本語で言ってよ!と思ったこともあるのではないでしょうか。
ビジネス用語の意味を知り、使い方を覚えていくことで、コミュニケーション能力や文書の読解力が向上していくでしょう。
この記事では『マスト』の意味や、シーン別での使い方や例文などを分かりやすく紹介します。
マストの意味は3パターン
マストの意味①『〜しなければならない』
英語の must は、「~しなければならない」「~に違いない」といった意味の助動詞として用いられることが多い。
引用:weblio辞書
『マスト』には助動詞として
・〜しなければならない
・〜に違いない
・〜する必要がある
などの意味があります。
書類を明日までに提出することはマストです。
マストの意味②『欠かせない』『絶対に必要』
『マスト』には
・欠かせない
・外せない
・必ず・必須
・必要がある
・重要
などの意味もあります。
接待をするお店は、個室があることがマストです。
マストの意味③『船の帆』
「マスト」は「船の帆(帆柱)」を指す意味で用いられることもある。この「マスト」は、オランダ語の mast に由来する語である。
引用:weblio辞書
マストと聞いて、船の甲板に立てた柱の『マスト』を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。
船のマストのスペルは『mast』ですので、〜しなければいけないという意味の『must』とは違う単語になります。
マストの正しい使い方(ビジネスシーンで使う場合)
ビジネスシーンで使う『マスト』は、『絶対に必要』『重要事項』などの強制力があります。
例文①必ず・絶対にという意味で使う時
【Before】
このプロジェクトの納期は必ず守ってください。
遅れることのないように、チーム全員で最善を尽くして取り組んでください。
【After】
このプロジェクトの納期はマストです。
遅れることのないように、チーム全員で最善を尽くして取り組んでください。
例文②必要という意味で使う時
【Before】
新しく提案する商品には、〇〇の素材が絶対に必要です。
【After】
新しく提案する商品には、〇〇の素材がマストです。
例文③重要という意味で使う時
例文④
【Before】
この企画を通すことは重要なので、入念に打ち合わせしてください。
【After】
この企画を通すことはマストなので、入念に打ち合わせしてください。
ビジネスシーンで『マスト』と言われた時は、できるだけ・可能であればなどとは思わず、『重要・必ず行う必要がある』と受け取ると良いでしょう。
【注意点】
マストには様々な意味があり、とても便利な言葉ですが『〜したほうがいい』と気軽に使う時と、『〜しなければならない』と強制力を伴う場合があります。
多用すると、本当に重要な時に区別がつかなくなってしまう場合がありますので、適切に使う必要があります。
また、使い方を間違えると命令と捉えられる可能性もありますので、上司や得意先の方などには配慮しましょう。
マストの正しい使い方(日常生活で使う場合)
日常生活で使う『マスト』には、『欠かせない』『外せない』という意味があります。
例文①『欠かさずに』いう意味で使う時
【Before】
空気が乾燥しているので、加湿器は欠かせません。
【After】
空気が乾燥しているので、加湿器はマストです。
例文②『外せない』という意味で使う時
【Before】
〇〇カフェに行くなら、シフォンケーキは外せないよね
【After】
〇〇カフェに行くなら、シフォンケーキはマストだよね
店頭や雑誌などで見かける『マストアイテム』『マストバイ』には、『必需品』や『おすすめ』という意味があります。
例文③マストアイテム=必需品
【Before】
日焼け止めと日傘は、夏の必需品です。
【After】
日焼け止めと日傘は、夏のマストアイテムです。
例文④マストバイ=おすすめ
例文③
【Before】
今春のおすすめ商品は、ストライプシャツです。
【After】
今春のマストバイ商品は、ストライプシャツです。
日常生活で使う『マスト』は『必要・外せない』という意味も含まれていますが、強制や絶対的な意味合いはありません。
『おすすめ』『あったほうがいいよ』などのニュアンスで、気軽に使われていることが多いでしょう。
マストの類義語・関連用語3選
『マスト』の類義語・関連するビジネス用語は3つ。
①ニード(need)
②ベスト(want)
③ウォント(want)
意味の違いを理解し、使い分けていきましょう。
ニード(need)の意味と正しい使い方例文
ニード(need)には『必要とする』『要求する』『必要なもの』という意味があります。
強制力の強さでは、『マスト>ニード』となります。
例文
【Before】
採用には、コミュニケーション能力と協調性があることが必要です。
【After】
採用には、コミュニケーション能力と協調性がニードです。
ベスト(best)の意味と正しい使い方例文
・最上。最良。最優秀。また、そのもの。「新製品の中ではこれがベストだ」「自己ベストの記録」
・最善。全力。「ベストを尽くして戦う」
引用:コトバンク
ベスト(best)には『最も良い』『一番優れている』『全力』という意味があります。
例文
【Before】
最も良い状態で、明日のコンペを迎えましょう。
【After】
ベストな状態で、明日のコンペを迎えましょう。
ウォント(want)の意味と正しい使い方例文
欲する、(…が)欲しい、(…を)望む、用事がある、用事で捜している、したい(と思う)、望む、ほしいと思う、もらいた(くな)い、(…が)望む
ウォント(want)には『希望する』『〜がほしい』という意味があります。
『できれば〜してほしい』という希望であり、強制力はない言葉になります。
例文
【Before】
エレベーターがあることは必須ですが、できれば駅近で探してほしいです。
【After】
エレベーターがあることはマストですが、駅近の条件はウォントです。
マストの対義語・反対語はベター(better)
マストの対義語に近い言葉は、ベター(better)になります。
ベター(better)には
・(複数の選択肢から比較して)〜の方が良い
・〜の方がまだマシ
・どちらかといえば〜
などの意味があり、複数の選択肢の中から、より良いものを選ぶ場合に用いられます。
マストは『〇〇しなければいけない』という意味で、『たった1つの選択肢しかない・絶対にしなければいけない』という強制力があります。
しかしベターは『複数の選択肢がある中で、1番ではないがこれがまだマシ』という意味で、絶対ではなく強制力もありません。
その為、ベターはマストよりも強制力がない・表現を和らげたい時に使われます。
マスト(must)の英語の言い換え3パターン
mustを別の英語に言い換えると、3つのパターンがあります。
①have to
②should
③need to
言い換え①have to
・〔外的な条件により〕~しなければならないと感じる、~する必要がある、~すべきである
・~しないと気が済まない、~しないではいられない
・〔必然的に〕~するしかない、~するほかない、~するより仕方がない、~せざるを得ない、~しないわけにはいかない、~する必要に迫られる、余儀なく~する、~する羽目になる
引用:英辞郎
『must』と『have to』にはどちらにも『~しなければならない』という意味があります。
しかし『must』は、自分の意思や考えで「~しなければならない」と思っている
『have to』は、自分の意思は置いておいて、ルールなどが理由で義務的にしなければならない・そうせざるを得ないと思っている
という違いがあります。
『have to』には『must』と違い、強制力はありません。
言い換え②should
shouldとは意味・読み方・使い方
であろう、…するぞ、…しましょうか(と言う)、…すべきである、するのが当然だ、したほうがいい、…すべきであった(のにしなかった)、…する(のは、とは)、…する(ように)
引用:weblio
『must』と『should』にはどちらにも『~しなければならない』という意味があります。
しかし『should 』は、強制のニュアンスは弱く『〜したほうがいい』という推奨や、『多分~だろう』などの断定できない場合に使われます。
言い換え③Need to
『must』と『need to』にはどちらにも『~しなければならない』という意味があります。
しかし『need to』を使う場合は、自分の考えや意思で『〜しなければならない』『〜が必要だ』と思っており、義務ではありません。
外的要因に影響されるものではなく、その人自身の任意となります。