「薫陶」という言葉には、「徳の力で人を感化し、教育すること」という意味があります。
日常生活であまり使われない言葉ですので、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「薫陶」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「薫陶」の意味は『徳の力で人を感化し、教育すること』
薫陶の読み方は「くんとう」です。
語源は、中国・元の時代の歴史書「宗史」の中で出てくる「薫陶成性(くんとう・せいせい)」という四字熟語です。
その時代、香を焚くことを「薫」、陶器などの器を作ることを「陶」と言い、お香を焚いて香りを染みこませた土で陶器を作ることを「薫陶」と表していました。
このことから香りを良い手本や教えに置き換え、よい教えを吸収しながら陶器を作り上げるように人格を形成するという意味合いに転じたと言われています。
『薫陶』には
- 徳の力で人を感化し、教育すること
などの意味があります。
「薫陶」の正しい使い方を例文で紹介!
「薫陶」は、徳の力で人を感化し、教育することを表す際に使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
先生から薫陶を受けたことで、ここまで成長することができました。
例文②
教授の薫陶を賜ったおかげで、研究を終えることができました。
例文③
憧れの師から薫陶を受けることができ、感無量です。
例文④
師匠から薫陶を受けた弟子たちは、それぞれの場所で活躍しています。
例文⑤
あの選手に薫陶を受け、野球を極めようと決めました。
【薫陶を使う時の注意点】
「薫陶」は、教えてもらうことや導いてもらうことを表す言葉ですので、自分に対して使うことはほとんどありません。
「薫陶を受ける」「薫陶をいただく」など、受け身の形で使われますので、覚えておきましょう。
「薫陶」の類義語・言い換え3選
『薫陶』の類義語や言い換えの言葉は3つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 指導
- 教育
- 感化
類義語①指導の意味
ある目的・方向に向かって教え導くこと。
引用:goo辞書
教官のご指導のおかげで、免許を無事取得することができました。
類義語②教育の意味
ある人間を望ましい姿に変化させるために、身心両面にわたって、意図的、計画的に働きかけること。知識の啓発、技能の教授、人間性の涵養 (かんよう) などを図り、その人のもつ能力を伸ばそうと試みること。
引用:goo辞書
新人の私に、厳しくも優しく教育していただき感謝です。
類義語③感化の意味
考え方や行動に影響を与えて、自然にそれを変えさせること。
引用:goo辞書
先輩の言葉に感化されてランニングをはじめました。
「薫陶」と「勲等」の違いは?
「薫陶」と「勲等」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「薫陶」には徳の力で人を感化し、教育することという意味がありますが、
それに対し「勲等」には、国家、社会に功績のあった者を表彰するために設けられた勲位の等級という意味があります。
同じ「くんとう」と読む言葉ですが、意味は全く違いますので気をつけましょう。
「薫陶」は英語で『education』
薫陶は英語の『education』に言い換えることができます。
英語の『education』には
- 教育
- 育成
などという意味があります。
「薫陶」の対義語・反対語は『独学』
薫陶の対義語は、『独学』になります。
独学には
- 学校に通わず先生にもつかず、独力で学ぶこと
などの意味があり、人から教わらずに自分自身で学ぶことを表す際に用いられます。
僕は独学でプログラミングを学びました。
徳の力で人を感化し、教育することという意味の「薫陶」に対して、人から教わらずに自力で学ぶことという意味の「独学」は、反対の意味の言葉として使うことができます。