「往時」という言葉には、「過ぎ去った時」という意味があります。
過去について思い起こすときによく使われる言葉ですが、正しい使い方を知らないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、「往時」の意味や使い方などを例文を交えながら、分かりやすく解説していきます。
「往時」の意味は『過ぎ去った時』
往時の読み方は「おうじ」です。
語源は漢字の「往(おう)」と「時(じ)」から成り立っており、
- 「往」は 時間が過ぎ去る、過去
- 「時」はそのとき、そのころ
の2つが合わさってできた言葉です。
『往時』には
- 過ぎ去った時
- 以前
などの意味があります。
「往時」の正しい使い方を例文で紹介!
「往時」は、過去について思い起こすときに使われる言葉です。
間違った使い方をすると相手に伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまう可能性もありますので、例文と共に正しい使い方を知っていきましょう。
例文①
母は昔住んでいた町を訪れて、往時を偲んでいました。
例文②
往時は温泉街として栄えていたが、今は観光客の姿もなく寂れている。
例文③
いきいきとした彼のプレーは、活躍していた往時の姿を思い起こさせる。
【往時を使う時の注意点】
「往時」は文章語にあたるので、会話の中で使うには適しません。
「往時」の類義語・言い換え3選
『往時』の類義語や言い換えの言葉は3つあります。
類義語を知り、同じ意味を持つ複数の言葉を使い分けることができると相手とのコミュニケーションが円滑になります。
相手の理解度や状況に合わせて、最適な言葉を選択していきましょう。
- 旧時(きゅうじ)
- 往日(おうじつ)
- 過去(かこ)
類義語①旧時(きゅうじ)の意味
過ぎ去った時。昔。往時。
引用:goo辞書
恩師に話を聞くと、旧時を回想しながら答えてくれた。
類義語②往日(おうじつ)の意味
過ぎ去った日。昔日。
引用:goo辞書
統廃合で母校が無くなると聞いて、校舎で過ごした往日に思いを馳せた。
類義語③過去(かこ)の意味
現在より以前の時。過ぎ去った時。昔。
引用:goo辞書
海外に住んでいた過去を振り返って、その時の経験が今に活きていると実感しました。
「往時」と「往年」の違いは?
「往時」と「往年」は似ている言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「往時」には過ぎ去った時という意味がありますが、
それに対し「往年」には、過ぎ去った年という意味があります。
どちらも、昔に栄えていた様子を思い浮かべるときに使われる言葉ですが、「往年」には以前に力があり有名であったという意味が含まれています。
そのため、思い出を懐かしむような場面では「往時」、過去に有名だった人物などについて語る場面では「往年」を使うのが適していると言えます。
また、「往時」は文章語のため、話すときには使われませんが、「往年」は会話の中で使用することができます。
「往時」は英語で『past』
往時は英語の『past』に言い換えることができます。
英語の『past』には
- 過ぎ去った、昔の
- 過去の
という意味があります。
「往時」の対義語・反対語は『近時』
往時の対義語は、『近時』になります。
近時には
- 近ごろ、このごろ
- 最近
などの意味があり、少し前から現在の事柄や風潮について話す場面で用いられます。
過去のことを思い起こして話すときには「往時」、少し前から現在のことを話すときには「近時」を使います。